研究課題/領域番号 |
18H06265
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
栗原 渉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90826926)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 難聴 / 霊長類 / 認知症 |
研究実績の概要 |
申請者らは「難聴」が患者に及ぼす影響を明らかにすることを目標に、霊長類モデルを用いた難聴研究のプラットフォーム構築に取り組んできた。近年、認知症との関連も指摘されている「難聴」を、多角的・経時的に解析するためには、高い社会性と音声コミュニケーションを有する霊長類モデルは強力なツールとなり得る。申請者らは、これまでに音響外傷性難聴コモンマーモセットの作製に成功しており、同モデルを活用することで、コミュニティに難聴個体が存在した際に各個体に表れるコミュニケーション障害やストレス反応を明らかにすることが可能となる。これは、難聴への適正な治療介入時期の決定や、認知症への進展の防止策を講じる上で基盤となりうるデータである。本研究では、プロジェクトの重要なパートである、難聴個体に表れるバイオマーカーの変化を経時的に解析し、認知機能との相関性を明らかにする。 難聴モデルマーモセット及び同じコミュニティに属する別個体が受ける社会生物学的変化を描出するために、音声コミュニケーション量と身体的活動量に焦点をあてて解析することとした。マーモセットは飼育ケージ内での飼育環境下でもコミュニティを形成し豊富な言語コミュニケーションを保持するhigh vocal animalであることで知られる。そこで、まずは正常聴力個体を用いて、音声コミュニケーション、活動量の定量化および、生化学的マーカーの経時変化を捉える実験系の確立を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常コモンマーモセットのバイオマーカー測定に取り組んいる。マイクで一定時間採取した音源から、マーモセットのベースとなる発声数と声紋パターンのコントロールを作製した。4個体の解析では、声紋解析ソフトにより5種を超える発声の判別が可能であった。続いて、活動パターン・活動量の解析に際しては、コモンマーモセットはケージ内を立体的に動くことから、二台の超広角レンズビデオカメラにより正面・側面から撮影し、Univ STIRLING, COMMON MARMOSET CAREの記載をもとに正常聴力個体の活動パターンを解析した。さらに、生化学的バイオマーカーとして、コルチゾール値の測定に取り組んだ。サンプルは血液、唾液、尿、便が候補として考えられたが、経時的計測の必要性が考えられるため、尿、便を用いた測定法の確立を行った。 各実験において、予想と相違ない結果が集積されてきている。
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今後の研究の推進方策 |
これでに蓄積した正常コモンマーモセットのバイオマーカーを、難聴モデルマーモセットにおいても測定し、比較していく。測定バイオマーカー項目に関しては、随時最適な候補の探索を行い、アップデートしていく。
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