研究課題
摂食嚥下運動には複数の筋肉(摂食嚥下関連筋)が協調しており,摂食嚥下関連筋の筋力低下は嚥下障害を引き起こす。よって摂食嚥下関連筋の筋力を評価し,それらと関連する因子を調査することが重要である。これまでの研究において,摂食嚥下関連筋群うちオトガイ舌骨筋と舌筋の筋力は,加齢やサルコペニアにより低下することが明らかとなった。一方で,要介護高齢者においては姿勢の安定性と嚥下障害の関連が報告されている。すなわち体幹保持機能が低下していると有意にむせやすい。またこれらの関連性は臨床的にも認められている。しかしながら,これまでに要介護高齢者において,摂食嚥下関連筋群と体幹との直接的な関連を示した報告はない。よって本研究では,要介護高齢者を対象として,摂食嚥下関連筋の筋力と体幹との関連を明らかにすることを目的とした。今年度,研究代表者は健常高齢者を対象とした先行研究を実施した。そこで,摂食嚥下関連筋のうち,オトガイ舌骨筋の筋力(開口力)と舌筋の筋力(舌圧)が,体幹の筋量をもとに算出した体幹筋指数と関連があることを明らかとした。さらに,体幹の筋力と摂食嚥下関連筋群の筋力との関連は不明であったが,健常高齢者を対象として,体幹の筋力(背筋力)が舌圧と関連しているかを調査した。その結果,舌圧に影響するもっとも有意な因子は背筋力であることも明らかとした。研究の成果については,2019年6月に行われる老年歯科医学会で発表予定である。 次年度は対象を要介護高齢者とし,調査を継続する予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度は健常高齢者を対象として,体幹の筋量および筋力について,摂食嚥下関連筋との関係を調査することができた。解析結果をまとめ,論文投稿準備をすすめている。
健常高齢者に関する研究成果は,2019年度の国内での学会発表,および国際学会での発表を予定している。今後の推進方策に関して,本研究の対象者は要介護高齢者であるため,今年度健常高齢者を対象として解析を行った結果をもとに,さらに測定を継続する予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)
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