本研究では、高齢者の摂食嚥下関連筋と体幹との関連を調査した。その結果、60歳以上健常高齢者において、舌の筋力に最も影響する因子は背筋力で、性別や年齢に有意差を認めなかった。また、咬合支持が減少し背筋力が低下しているものは、より舌の筋力に影響を受けた。さらに要介護高齢者において、摂食嚥下関連筋の筋量と体幹筋指数の相関、食事形態と離床時間の関連性も明らかとなり、長期臥床による全身の廃用が、嚥下機能にも影響を及ぼす可能性が示唆された。本研究結果は、嚥下機能評価においては口腔領域のみならず全身の評価が重要であることを示した。
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