我々は周産期由来の細胞、特に羊水中に含まれる単核球成分を採取・培養し、組織マクロファージを移植することで障害あるいは機能低下唾液腺を再生する計画であった。だが羊水からのマクロファージ抽出は胎脂が多く困難であったため、我々は臍帯・臍帯血・羊膜に着目し、単核球を分離、MSCおよびマクロファージの培養を試みた。フローサイトメトリーで目的のマクロファージ表面マーカー (F4/80+、CD45+、CXCR1、CD169、CD11b,CD206)の発現をFACS解析を行い、細胞表面上の抗原でどのような細胞が抽出できているか確認を行った。この結果からprimaryの臍帯や臍帯血から抽出した細胞にはほとんどマクロファージは含まれていなかった。そこで我々が培ってきた特殊培養方法(5G培養)を用いて培養を試みたが、目的のマクロファージの培養は困難であった。そこでMSCに着目し、細胞の抽出方法を再度検討し、FACS解析を行っているが、臍帯・羊膜からMSC培養における良好な結果が出ており、培養が困難なマクロファージよりもMSCに着目して解析を行っているところである。この培養によって一定の品質が保たれるようであればMSCの組織移植を行い、機能低下唾液腺モデルマウスの組織再生が可能であるか検討予定としている。今後はvitroでのさらなる解析を行い、どういった細胞が周産期産物の中に存在するか、またそれらが組織移植で使用可能かどうか検討していく。
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