研究課題/領域番号 |
19K21376
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
池田 恵莉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40822565)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周病 / 抗酸化物質 / Nrf2 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
昨年度の実績から、レスベラトロール 二量体とレスベラトロール 単量体の歯周炎治癒効果の比較を行い、レスベラトロール 二量体の有用性を明らかにできたため、本年度はレスベラトロール 二量体を用いてそのメカニズムの検討を行うこととした。酸化ストレスや炎症の防御に中心的な役割を果たす転写因子Nuclear Factor Erythroid 2-Related Factor 2(Nrf2)は、歯周炎患者において有意に減少していることが明らかになっており、申請者の先行研究からも歯周炎モデルマウスで歯周炎症局所のNrf2の産生がレスベラトロール 投与で増加することを確認しているおり、Nrf2がレスベラトロールの作用機序に中心的な役割を果たしていると考えその検討を行った。 歯周炎誘発Nrf2ノックアウトマウスに対するレスベラトロール 二量体の効果の検討を行なった。上顎臼歯に結紮糸を留置し歯周炎を誘発し、レスベラトロール 二量体溶液もしくはプラセボ溶液腹腔内に投与した。μCTで治癒過程を確認したのちに、マウスを安楽死させ、結紮糸周囲歯肉と歯周組織を採取した。μCTデータから歯槽骨吸収量を測定し、その変化を観察した。Nrf2ノックアウトマウスは、レスベラトロール 二量体を投与しても歯槽骨吸収量に変化は見られず、歯槽骨治癒は起こらなかった。また、組織学的解析として、 酸化ストレスマーカーである8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG)抗体での免疫染色を行い、酸化ストレスレベルを観察したところ、8-OHdG陽性細胞数はレスベラトロール投与群とコントロール群で差は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
in vivoでRSV二量体が歯周炎骨吸収治癒を促進するメカニズムを検討するため、Nrf2ノックアウトマウスに対するレスベラトロール 二量体の効果の検討を行った。歯槽骨吸収量の測定と免疫染色による酸化ストレス量の確認は行ったが、研究を完了させることができていない。その主な理由として、今年度産休・育休のため研究中断を行ったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
歯周炎誘発Nrf2ノックアウトマウスに対するレスベラトロール 二量体の効果の検討を継続して行う。昨年度動物実験を行い、取得した組織サンプル(結紮糸周囲の歯肉組織)からはメッセンジャーRNAを抽出し炎症性サイトカインレベル(IL-1β, IL-6, TNF-α)をqPCR法で測定する。さらに、統計解析を行い必要な場合は動物実験の追加を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に産休・育休に伴う研究中断を行い、研究に遅れが生じているため。次年度に研究を再開して必要な実験に使用する予定である。
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