研究課題/領域番号 |
18H06290
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 夕子 (原夕子) 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80827676)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 低酸素培養 / 口腔粘膜線維芽細胞 / 3次元培養環境 / 培養真皮 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
口腔粘膜線維芽細胞と皮膚真皮線維芽細胞における2次元培養環境における細胞増殖能解析、3次元培養におけるコラーゲンゲルから放出されるタンパク発現解析、さらに培養細胞/培養真皮の品質担保につながるマーカーの検討を行っている。2次元培養環境における細胞増殖能解析では、酸素濃度は 21%, 5%, 1%に設定し、Population Doubling と Population Doubling Time により増殖能を分析する。またコロニー形成能を解析し、同時に BrdU Assay と Apoptosis assay も補助的に行い、細胞増殖能と細胞死についての評価を行う。5%, 1%のうち、トータルの培養期間と総獲得細胞数を指標に最適な酸素濃度を決定する。予備実験で、低酸素培養細胞が小型で細く、増殖が速いことを確認しているので、細胞品質担保マーカーとして、FACS 解析による Light Scatter(細胞サイズと細胞内部の複雑さ)分析も評価に加える。口腔粘膜組織であっても皮膚真皮線維芽細胞の性格を示す細胞の混在は避けるため、真皮線維芽細胞特異的マーカーと報告されているCD26 (Mah, 2017)を指標に、CD26 陽性細胞の混在比率の検討もFACSで行う。3次元培養環境におけるタンパク発現解析は培養上清をサンプルとし、タンパク質多項目同時解析装置(ルミネックスアッセイ)で測定する。血管新生因子や炎症関連マーカーを包括的に測定可能なサイトカインパネル、リモデリングに関係するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)、ケモカインパネルを用いて分析し、血管新生因子とMMPの高発現、炎症マーカーとTIMPの低発現という発現バランスやパターンによって培養真皮の性能を評価、比較する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コラーゲンマトリック内で口腔線維芽細胞および皮膚線維芽細胞を培養し、3次元培養環境における低酸素応答を比較した。21%, 5%, 1%の 3 種類の酸素濃度でMTTassey、ウェスタンブロッティング法を用いて測定を行った。ウェスタンブロッティング法では、創傷治癒関連タンパクであるα-SMA、MMP-3,10、CEMIPの発現を、それぞれの酸素濃度で確認した。マイクロアレイ解析においても低酸素や創傷治癒に関係するタンパクを新たに抽出した。
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今後の研究の推進方策 |
組織修復に関するタンパクに関してさらなる測定、解析が必要と考えられる。具体的には、血管新生因子や炎症関連マーカーを包括的に測定可能なサイトカインパネル、リモデリングに関係するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)、ケモカインパネルを用いて分析し、血管新生因子とMMPの高発現、炎症マーカーとTIMPの低発現という発現バランスやパターンによって培養真皮の性能を評価し比較する。培養上清を用いて、組織修復に関するタンパク質VEGF、FGF-2、MMP-3、MMP-10、MMp-13、TGF-βなどを多項目同時解析装置(ルミネックスアッセイ)で測定し、酸素濃度の影響を確認する。移植に適する培養期間の設定も行うため、培養上清採取を経時的に最長21日間に渡って実施し、最適な酸素濃度と同時に決定する。細胞品質担保マーカーとしては、複数作成した培養真皮の一部をウェスタンブロットに供して評価する。ゲル内部が確実に低酸素環境であることの立証のために、低酸素誘導因子のHIF1-α 発現を確認し、表面抗原であるCD26の発現レベルも確認する。得られた実験データをまとめEuropean Journal of Oral Sciencesに投稿する予定である。
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