培養真皮作成プロトコールは、口腔粘膜組織片採取→①線維芽細胞培養(2D)→②コラーゲンゲル埋入後の培養(3D)→③製品出荷となる。本研究では作成プロトコールの全工程で酸素濃度が異なる環境に置き、各工程で機能的解析を行いながら、低酸素プロトコール最適化のためのパラメータ(酸素濃度など)を決定していく。具体的には真皮線維芽細胞を対照としながら、コラーゲンゲルから放出されるタンパク発現解析、作成過程における培養細胞/培養真皮の品質担保につながるマーカーの検討を行う。まず線維芽細胞をコラーゲンゲルに埋入し、複数の培養真皮を作成する。マイクロアレイにて口腔線維芽細胞と皮膚線維芽細胞、低酸素培養と通常酸素培養の4群で網羅的遺伝子発現検索をして比較する。解析は培養上清をサンプルとし、タンパク質多項目同時解析装置(ルミネックスアッセイ)で測定する。リモデリングに関係するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)、ケモカインパネルを用いて分析し、培養真皮の性能を評価、比較する。MTTアッセイにて異なるO2濃度間での細胞生存率を比較し、低酸素条件下でのコラーゲンゲル収縮とα-SMA発現についても確認する。本解析では移植に適する培養期間の設定も行うため、培養上清採取を経時的に最長21日間に渡って実施し、最適な酸素濃度と同時に決定する。細胞品質担保マーカーとしては、複数作成した培養真皮の一部をウェスタンブロットに供して評価する。
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