研究課題/領域番号 |
18H06296
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
影山 伸哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90822495)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 乳幼児 / 口腔マイクロバイオーム / 定着 / メタゲノム |
研究実績の概要 |
本年度は、メタゲノム解析に使用するサンプルを決定するため、口腔常在細菌叢(マイクロバイオーム)が大きく変化するタイミングの詳細な同定を行った。以前の研究において乳幼児8名から縦断的に採取した舌苔マイクロバイオームのデータを解析したところ、乳幼児初期に舌苔マイクロバイオームの菌種多様性や細菌構成が劇的に変化し、成人の舌苔マイクロバイオームに近づくことが明らかとなった。特にStreptococcus属のいくつかの細菌種やActinomyces属、Porphyromonas属、Fusobacterium属の細菌種の構成比率が、その時期に大きく変動していた。これらの結果について学会発表を行い、論文の作成を進めた。この結果より、今後のメタゲノム解析に用いるサンプル(劇的な変化前のサンプルと変化後のサンプル)が各乳幼児それぞれにおいて決定された。また、決定されたサンプルのデータを用いて、16S rRNA遺伝子のデータから細菌群衆の持つ機能を予測できるPICRUStや判別分析のLEfSeを行なったところ、いくつかの物質の代謝に関わる遺伝子や膜タンパク合成に関わる遺伝子の比率が、劇的な変化前後の舌苔マイクロバイオームで異なっていた。この結果はあくまで16S rRNA遺伝子のデータから予測されたものではあるが、劇的な変化前後に着目し、口腔マイクロバイオームのメタゲノム解析を行うことで、口腔常在細菌定着に関わる機能を同定できる可能性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は口腔マイクロバイオームが劇的に変化するタイミングを同定し、メタゲノム解析に使用するサンプルを決定することができた。また、PICRUStによって口腔マイクロバイオームの持つ遺伝子群がこの時期に大きく変化する可能性が示唆され、決定したサンプルの妥当性も確認できた。一方で、メタゲノム解析プロトコルの確立については不十分であったことから、全体の達成度としては「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続きメタゲノム解析プロトコルの確立を進め、安定したメタゲノム解析を行う。また、MAGPIXシステムを用いたマルチプレックスアッセイによって分泌型IgAやサイトカイン濃度を測定し、口腔環境と細菌群集の機能の変化の関連についても検討する。
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