研究課題/領域番号 |
18H06301
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
田崎 園子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50824174)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | Candida albicans / Th17 / 口腔カンジダ症 |
研究実績の概要 |
Candida albicans(C. albicans )は通常はヒトに常在する害のない真菌であるが、高齢者や後天性免疫不全症候群の患者など易感染性の宿主においては口腔領域で口腔カンジダ症を引き起こす。これに対し、C. albicansに対する防御を担う細胞としてヘルパーT細胞の一種であるTh17細胞がよく知られている。しかし上皮のバリアを破り体内に侵入してきたC. albicans をどのようにして生態が感知、Th17細胞を分化誘導しているのかは未だ不明である。 研究代表者がこれまでの研究の成果で得た、Th17細胞を強く誘導し、口腔カンジダ症を抑制するC. albicans 菌糸形膜画分由来のタンパク質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用し更に何種類かの画分に分け、野生型マウス抹消リンパ節より分離したT細胞と、骨髄由来樹状細胞と共培養することで、そのTh17細胞分化誘導能を評価して有用なタンパク質が含まれているかを調査した。この結果から、強いTh17細胞分化能を示した画分を2次元ゲル電気泳動を用いて他の画分と比較し、他の画分に見られない特徴的なドットをプロテオミクス解析にかけた。Candida albicansゲノムデータベースと照合することにより、このドットよりMSスコアが他の画分より高い何種類かの候補タンパク質を絞り込むことが出来た。菌体そのものからのタンパク質の精製は非常に困難であったため、ゲノムデータベースから候補タンパク質のcDNAライブラリーを構築し、一部のタンパク質は大腸菌発現系を利用してタンパク精製まで行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた研究項目について以下の点が明らかになった。 1)HPLCにて更に分画されたCandida albicans(C. albicans)菌糸形細胞膜タンパク質のTh17細胞分化誘導能に関して検討し、有力なフラクションに関して、二次元ゲル電気泳動を用いて更に解析し、Candidaゲノムデータベースに照合する事で候補タンパク質の絞り込みを行った。 2)一部の候補タンパク質の抽出を行った。C. albicans菌体そのものからの候補タンパク質の精製が非常に困難であったため、計画書でも予定していた大腸菌を利用したタンパク精製方法へと計画を修正した。
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今後の研究の推進方策 |
C. albicans 候補タンパク質の精製を完了させる。大腸菌からの発現・精製が困難であった場合は、他の酵母や蚕などを利用したタンパク質精製方法を利用する。各タンパク質の野生型マウス由来ナイーブT細胞及び樹状細胞との共培養の系を利用したTh17細胞分化誘導能の評価および口腔カンジダ症病態モデルマウスを利用した病態抑制効果について評価し、Th17細胞への分化誘導の要因となるタンパク質の絞り込みを行う。 タンパク質が決定した後は、抗原をペプチドまで絞るためにオーバーラッピングペプチドを作成し、上記と同様のTh17細胞分化誘導能と、病態抑制効果を評価する予定である。 また、C. albicans は常在真菌であるため、普段は生態においては排除されず、寛容の状態で常在しているためその寛容を管理する制御性T細胞に関しても調査を行う予定である。
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