Candida albicans (C. albicans )は健常なヒトに常在する主要な真菌であるが、高齢者や後天性免疫不全症候群(AIDS)などの易感染性宿主に対しては、再発する難治性の真菌感染症を起こします。真菌感染症に対する主な治療法は抗真菌薬による薬物療法ですが、抗真菌薬の数は抗菌薬に対して非常に少なく、また全身に常在する真菌の駆逐は現実的に不可能であり、効果的な治療成果を得られない現状にあります。C. albicans の病態制御にはIL-17を産生するTh17細胞が深く関与している事が知られており、この産生を欠くマウスでは病態が悪化することもよく知られていますが、Th17細胞の分化誘導にどのような抗原が関与するかは未だ知られていません。申請者はこの常在真菌感染症に対する免疫制御機構の要であるTh17細胞の分化誘導メカニズムを解明することを目的として研究を進めてきました。申請者はこれまでC. albicans の菌体の様々な部位からその構成タンパク質を抽出し、菌糸形細胞膜に含まれるタンパク質がマウス免疫細胞においてTh17細胞を強く誘導すること、また菌糸形細胞膜タンパク質にて刺激したT細胞を病態モデルマウスに養子移入するとその病態を抑制できることを発見してきました。今回の「研究活動スタート支援」の支援によって申請者はこの菌糸形細胞膜タンパク質を高速液体クロマトグラフィーや2次元ゲル電気泳動などを用いて更に分画、プロテオミクス解析を行いTh17細胞の分化誘導能の高いC. albicans 抗原候補タンパク質を得る事が出来ました。
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