研究課題/領域番号 |
19K21392
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三上 理沙子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30822548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周病 / 糖尿病 / レーザー / low-level laser therapy |
研究実績の概要 |
歯周炎は、中・高齢者において特に罹患率の高い感染性疾患であり、歯肉の炎症、歯槽骨など歯周支持組織の破壊を特徴とし、歯の喪失に至る慢性炎症性疾患である。近年では、糖尿病と歯周病は相互に影響することが知られている。抜歯や歯周外科治療などの外科的な侵襲に対して、糖尿病患者では創傷治癒が遅延しやすいことや骨形成が低下していることなどが知られており、糖尿病患者に対する、より安全で効果的な治療が求められている。そこで、我々は低出力レーザー照射(low-level laser therapy: LLLT)が創傷治癒や骨形成を促進することに着目し、LLLTを糖尿病患者の歯科領域における外科的処置へ応用することを目的として研究を行った。 現在までに、細胞実験により高血糖状態が骨芽細胞や血管内皮細胞へ与える影響についての検討を行った。また、動物実験により糖尿病モデルマウスにおける口腔内の創傷治癒への影響についての検討や糖尿病モデルラット上顎へのインプラント埋入モデルの確立および評価を行った。また、糖尿病の合併症である腎障害が重篤化し透析治療が必要となった患者を対象とした臨床研究を行い、口腔疾患と全身状態の関係性について解析を行っている。さらに、レーザーを用いた歯周治療と関連して、レーザーを用いた歯周治療の疼痛抑制効果についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 今後は、これまでに得られた知見をもとに、糖尿病による創傷治癒遅延に対するLLLTの効果を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように、現在高血糖状態が与える影響について、細胞実験や動物実験により検討を行った段階である。今後、LLLTがそれらの影響を改善するかどうか検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている、細胞実験、動物実験、臨床研究およびシステマティックレビューの 結果を論文化するとともに、さらにLLLTの効果を検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨芽細胞や血管内皮細胞、線維芽細胞を用いた細胞実験を行っていたが、高血糖培地の条件設定に当初予定していたより時間がかかり、実験計画に遅滞が生じた。現在、動物実験と並行して細胞実験も行っているが、当初の想定より実験の遂行に時間を要しており、結果の解析およびとりまとめを行うために研究期間の延長が必要となった。新型コロナウイルスの影響により、実験計画のさらなる遅延の可能性もあるが、次年度使用額については半年程度での使用を計画している。
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