我々は、ゼノフリー無血清培養下においてヒト抜去歯からの歯髄幹細胞の分離と大量培養に成功した。一方で、無血清培養下の歯髄幹細胞は過度な培養により多層化と細胞死が生じた。そこで本研究は、無血清培養による安全で効率的な臨床的培養法の確立に向け、歯髄幹細胞の接着形態に着目し、その細胞接着機構の解明を目的とした。本研究により、無血清培養下における歯髄幹細胞の多層化には、細胞の細胞外基質の分泌が関与している可能性が示唆された。さらに、無血清培養において培養シャーレのtype 1 collagen コーティングは、歯髄幹細胞の接着や増殖に有利にはたらき、多層化に伴う細胞死を回避することが明らかとなった。
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