研究課題/領域番号 |
18H06327
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西川 泰史 徳島大学, 病院, 医員 (10823833)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周病 / 糖尿病 / 高グルコース |
研究実績の概要 |
糖尿病患者の歯周病(糖尿病関連歯周炎)は,重症化しやすく治癒しにくいことが知られているが,その病態形成は不明である。我々は,歯周病及び糖尿病患者の歯周病の歯肉溝滲出液(歯と歯茎の間に分泌される液)中にS100蛋白の1つであるカルプロテクチンが多く検出されることを見出した。また、このカルプロテクチンは、歯肉線維芽細胞における炎症関連因子であるIL-6産生を誘導し,歯周病の重症化が促進されることを報告した。本研究は,このカルプロテクチンをターゲット分子とし、糖尿病関連歯周炎の増悪化の機序を調べることを目的とした。すなわち、歯肉線維芽細胞を高グルコース状態にて培養し、カルプロテクチンを刺激することでどの様な細胞反応を示すのかを明らかにすることとした。結果として、高グルコース状態で培養した歯肉線維芽細胞において,カルプロテクチンの標的レセプターであるRAGEの発現誘導がノーマルグルコースに比べて蛋白レベルで認められた。しかし、TLR4は、認められなかった。高グルコース状態で培養した歯肉線維芽細胞をカルプロテクチンで刺激した際のMMP-1, MMP-3, MCP-1の産生性は、ノーマルグルコースに比べて有意に高かった。さらに、高グルコース状態で培養した歯肉線維芽細胞をカルプロテクチンで刺激した後の細胞内シグナル分子(NF-kB)の活性化を蛋白レベルで確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト歯肉線維芽細胞を高グルコースで培養すると、ノーマルグルコースで培養した場合と比較し、カルプロテクチンの標的受容体であるRAGEの発現性とカルプロテクチン誘導性炎症関連因子(MMP-1, MMP-3, MCP-1)及びNF-kB経路のリン酸化の亢進を確認することができた。このことから、高グルコース状態は、カルプロテクチンにおける炎症カスケードの亢進が生じ、歯周病病態の増悪に影響することが示唆された。このことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
カルプロテクチンの標的受容体であるRAGEがカルプロテクチン誘導性炎症関連因子の産生性に及ぼす影響を調べる必要がある。今後、ヒト歯肉線維芽細胞におけるRAGE遺伝ノックダウン細胞を樹立し、炎症関連因子の産生性と細胞内シグナル経路の探索を行う予定である。
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