骨吸収抑制薬は破骨細胞形成や骨吸収機能を抑制し、骨密度を上昇させる作用をもつ。近年、この薬剤は小児の骨系統疾患である骨形成不全症やステロイド性骨粗鬆症の治療にも使用され始めている。しかし成長過程の小児に対する骨吸収抑制薬の影響について、詳細は不明である。本研究では、破骨細胞分化を阻害する抗RANKL抗体と破骨細胞の骨吸収機能を阻害するビスホスホネートを用いて、骨吸収抑制薬がマウスの成長(身長・体重)や硬組織(骨・歯)に及ぼす影響を解析することを目的とする。成長における疾患発症時期が異なるため、治療時期特異的なモデルマウスを作成し、治療開始から成長後の影響を解明することにより患者のQOLを向上する一助となると期待できる。現在短期治療モデルマウスの作成している。成長発達の特定の時期に骨系統疾患を発症し、骨吸収抑制薬の投与 により小児期のうちに治癒・投薬を終了したケースの、成長後のQOLを解析するためのモデルである。時期特異的な破骨細胞抑制が成長後に及ぼす影響を解析できる。骨吸収抑制薬を種々の時期に短期に投与後、通常条件下で飼育して生体となった8週齢時に解析する。そのモデルマウスを使用して、成長解析、骨形態計測、歯および頭蓋骨の解析を行っている。成長解析は成長の指標として毎週体長・体重を計測する。骨形態計測は大腿骨・脛骨を採取し、マイクロCTを使用して、骨密度や骨幅、骨長などの計測を行い、骨量への影響について解析を行う。歯および頭蓋骨の解析は頭蓋骨を採取し、マイクロCTを使用して歯冠長、歯根長などの計測を行い、歯の萌出や歯槽骨骨量への影響について解析を行う。また、マイクロCTを使用して頭長や縫合、鼻軟骨への影響について解析を行う。.
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