本研究では、職場で感謝されたり褒められたりした際の脳神経活動を、近赤外線分光法(NIRS)で定量化することを目的とした。共に働いた経験のある健常成人を計10組20名募集した。実験では2名が向かい合って座り、聞き手と読み手を交互に担当した。読み手は聞き手に対し、感謝を感じた出来事や長所を褒める手紙、および対照刺激として中立的な台詞を読んだ。聞き手にNIRS装置を装着させ、酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定した。結果、感謝・褒めの手紙を聞いた際の方が対照刺激と比べ、ベースラインからの変化が統計学的に有意に大きかった。さらに実験の前後で、怒り-敵意など5種のネガティブな気分が統計学的に有意に減少した。
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