研究課題/領域番号 |
19K21424
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 聡明 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (50824653)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 看護理工学 / 画像処理 / 超音波検査 / 末梢静脈点滴 |
研究実績の概要 |
末梢静脈点滴の使用時における静脈炎などに代表される合併症の発生は広範な臨床的問題である。我々は これまでに可視化装置の1つである超音波検査装置を用いてアセスメントを行うことで、より合併症の少ない留置を実現できることを示して来た。しかし、現在の本邦では超音波検査は看護師によって一般には実施されていない。特に超音波検査画像の読影は困難な場合があり使用の妨げとなっていることが示唆されている。そこで本研究では超音波検査画像内における必要な情報の抽出を機械学習などに基づく画像処理によって行い、看護師の超音波検査使用をアシストする事を試みている。
超音波画像はすべてPIVCを使用した患者から収集した。開発として、998枚の超音波画像を用いて教師あり機械学習を行い、自動推定を行った。正解データは超音波画像について十分なトレーニングを受けた研究看護師が作成した。評価項目は血管の検出と血管径(短軸画像から最大長径とそれに直交する最大短径の平均値を計算)とした。評価には学習に使用しなかった259枚の画像を使用した。手動で作成した正しいデータと自動推定したデータの一致度をピアソンの積率相関係数、系統誤差をブランドアルトマンプロット、研究看護師によって推奨されるPIVCのゲージとシステムによって推奨されたゲージの一致度をaccuracyで評価した。 259枚の画像を評価した。血管検出のaccuracyは76.4%であった。正解データとの相関を算出するとr = 0.843であった (p < 0.01)。系統誤差は確認されなかった。熟達した看護師によって推奨されるゲージとシステムによって推奨されるものの一致度は70.2%であった。本研究では超音波画像による末梢静脈のアセスメントを助ける為にAIによる自動画像処理システムを開発し、血管の検出、血管径測定で熟達した研究看護師の測定と高い一致率を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自動画像処理システムについては、熟達した看護師との高い一致率を示したが、実臨床への応用、評価には至っていない為。
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今後の研究の推進方策 |
開発された自動画像処理システムについて、更なる性能向上を行うと共に実際のデバイスへの実装、臨床における評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、一部研究成果の発表に伴う経費計上が年度を超えての支出となった為である。 2020年度中に成果発表を行う。
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