本研究の目的は、医療的ケアが必要な子どもの親における災害への備えとその関連要因を明らかにすることである。 本研究では、医療的ケアが必要な子どもを持つ親7名を対象に備えの現状と災害への備えの認識についてインタビューを行い質的記述的分析を行った。その結果、災害への備えを行っている医療的ケアが必要な子どもの親は2名であった。しかし、未実施と答えた親も、災害発生を想定して行ってはいないが、医療物品は『予備として多めにもらっている』、『すぐに持ち運べる状態にしている』、子どもの『関係各所に分割して置いてある』状態にしていた。親の持つ災害への備えの認識では、6つのカテゴリー、15のサブカテゴリー、48のコードが抽出された。『災害への備えは必要ではない』、『災害への備えよりも優先すべきものがある』、『今までどうにかしてきたので災害時もどうにかなる』、『備えなくても自分の子どもは優先してもらえる』と多くの親が災害への備えの認識がなかった。 災害への備えを実施していると答えた親3名のみ『自分が守らないと災害時助からないかもしれない』、『自分一人ではこの子を守れない』と災害への備えの認識を持っていた。また、それらは[きょうだい][長い療養期間][人工呼吸器][寝たきり]が災害への備えの認識に影響していた。 研究成果は日本技術学会で発表している。今後、論文としてまとめ、日本災害看護学会に投稿し、医療的ケアが必要な子どもとその家族の災害への備えにつながるよう支援プログアム作成につなげ、災害による被害を最小限にできるよう貢献していく予定である。
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