研究課題
本研究は、関節リウマチ患者における破局的思考と疼痛改善率の関係を明らかにすることを目的として、京都大学医学部附属病院リウマチセンターに通院している関節リウマチ患者を対象とした研究である。2018年度の間に、破局的思考を持つ患者の実態を把握した。約25パーセントの患者が破局的思考を持っており、炎症時のみでなく非炎症状況下での痛みにも関連していることがわかった。2019年度は、1.破局的思考と寛解率の関係、2.破局的思考を持つ者の特徴の解析を進めた。2020年度は、2019年度に進めていた解析を完了できた。1.破局的思考と寛解率の関係に関しては、「DAS28-ESR(関節リウマチにおける臨床的寛解を評価する指標の一つ)の評価で寛解は達成できていないが全身性炎症がない患者においては、破局的思考という心理・認知的問題が臨床的寛解を阻む障壁となっていた」ことを明らかにした。2.破局的思考えを持つ者の特徴に関しては、喫煙している、転倒歴がある、医師と患者間の疾患活動性に対する評価(Visual Analog Scale 0-100mm)の差が20mm以上ある場合などの特徴を明らかにした。2020年度後半の最終段階として、この研究テーマの破局的思考と疼痛改善率に関しての解析にとりかかった。横断データでの解析であるため疼痛改善「率」との直接的関係は証明できなかったが、「腫脹関節・圧痛関節・炎症反応(血清CRP)が改善され臨床的寛解を示している患者の疼痛の強さ」と「破局的思考」との間に関係がみられたことを明らかにした。これら明らかになったことは、複数の国際学会にも採択され、論文化して現在投稿中である。
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