研究実績の概要 |
本研究は、入院中に導入できるリカバリープログラムの構築を目指すものである。2018年度は精神科病棟入院中の患者を対象にリカバリープログラムの実践とその効果の検証を目的とした。 2018年度は、病棟スタッフのリカバリーについての理解を深めること、またプログラムへの参加を促すことを目的に、医師や看護師、作業療法士、精神保健福祉士を交えて勉強会を2回行った。勉強会は、リカバリーについての説明を30分その後プログラムの体験を60分の構成で行った。同時に研究計画についてスタッフ全体に説明し、病棟での実践が可能であるか、どのような課題が考えられるかを検討した。病棟スタッフからの研究受け入れは良好であり、プログラムについても入院中の患者に適しているのではないかという意見であった。課題としては入院中の患者が参加できるような体制をどう整えるか、参加をどう促していくかという意見であった。参加はコミュニティミーティングで広報し希望者を募るようにしていたが、自発的な参加は厳しいのではないかという意見もあった。病棟スタッフの了解を得たあと、毎週水曜日午後に実践をした。医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士など多職種も一緒に参加し、10月以降6クールプログラムを実施した。参加した入院患者24名を対象に調査を行った。調査内容は、QOL(WHOQOL26),リカバリーアセスメントスケール(RAS),ローゼンバーグ自尊感情尺度(自己肯定感)を使用し、QOL,リカバリーの促進の有無、自己肯定感の変化を調査した。24名に配布し21名回収(回収率87.5%)、有効回答率は70.8%であった。結果として、QOL、RAS、自己肯定感ともに平均値が上昇しており効果がみられている。2019年度はさらに事例数を増やし、効果を明らかにするとともに、効果がみられない事例についても分析を深めていく。
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