方法:精神科病棟へ入院中の患者を対象にリカバリープログラムを実践し、RAS(リカバリーアセスメントスケール)、自尊感情尺度、QOL尺度を用いて、効果を検証した。実施期間は2018年4月~2019年3月であった。週に1回、4セッションで1クールのプログラムを計22回実施した。プログラムは研究者らが当事者や専門家へのインタビューの結果および文献検討の結果をもとに要素をを抽出し作成した。地域の当事者とともに実践し、リカバリー志向の効果が得られたものである。4つのセッションで1クールとなっており、セッション1:リカバリーについて語ろう、セッション2:やりたいことを語り合おう、セッション3:やりたいことへのアイデアを出し合おう、セッション4:リマインダーづくりの内容である。プログラム参加前と1クール終了時に調査をおこなった。 結果:期間中研究に参加した人は60名、そのうち有効回答が得られたのは40名(66.7%)であった。不調により最後まで参加できなかった人は3名(5%)、退院や転院により最後まで参加できなかった人は7名(11.6%)、空欄により回答が得られなかった人は10名(16.6%)であった。プログラム前後でRASの平均得点は71.6から78.6へ上昇した。自尊感情は21.9から24.1に上昇、QOLも2.75から2.96と上昇した。RASが低下した人は6名(15%)、自尊感情が低下した人は6名(15%)、QOLが低下した人は8名(20%)であった。地域で実践した場合と同様に入院中の患者においても一定の効果は得られ、リカバリー志向のプログラムとして活用できるという結果が得られた。一方で低下している患者が15~20%存在し、今後は低下している人の特徴や要因を調査し、病棟用のリカバリー志向のプログラム作成に向けた検討が必要である。
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