弱毒生ワクチン導入後に流行しているA群ロタウイルス(RVA)が、ワクチン選択圧からの逃避能を有している可能性が示唆されていた。そこで本研究では、ワクチン導入後のRVA感染症の患者の糞便材料を試料として用い、RVA流行株の塩基配列情報を収集、解析し、流行の実態の解明を試みた。その結果、流行は系統学的に単一のRVAにより発生しているものの、流行しているRVAのVP7遺伝子の中和エピトープのドメインに、アミノ酸配列の多様性が確認された。以上の結果より、RVAは抗原性を変化させることによってワクチンによる集団免疫から逃避し、市中で流行を維持している可能性が考えられた。
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