死後冠動脈造影検査を実施した症例で、病理組織学的検索のみでは困難な部位の血栓塞栓を発見することが可能であった事例や、冠動脈解離の所見を発見することが可能であった事例を経験した。 また、高度腐敗によって肉眼による解剖所見の評価が困難である症例において、死後冠動脈造影検査を実施することで、冠動脈の狭窄所見を容易に描出することが可能であり、死因究明に有用な検査であることが実証できた。 さらに、以前は冠動脈の石灰化と内腔に満たされた造影剤とを画像上識別困難であることがあったが、造影剤の構成成分の比率を調整することによって、それらを明瞭に区別することが可能となり、より一層の診断精度向上につながった。
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