研究実績の概要 |
1人の患者が複数回救急外来を受診する「頻回救急外来受診」は、救急外来の負担や医療費増大などの観点から世界的に課題となっている。しかし、日本ではこれまで単施設についての報告が主であり、費用に関する検討も十分ではなかった。そこで今回は静岡県内の2病院の協力を得て、頻回救急外来受診者の割合及び2次救急病院と3次救急病院での頻回救急外来受診者の特徴の違いを調査した。 静岡県内の2次救急病院、3次救急病院それぞれ1か所の救急外来を1年間に受診した20,388人(25,231件)の診療録を調査したところ、年5回以上の頻回救急外来受診者は134人(1,043件)で全体の4.1%であった。これらの頻回救急外来受診者にかかる医療費の合計は7200万円で、2病院の総医療費に占める割合は1.9%であった。頻回救急外来受診に関連する要因は年齢、生活保護受給が有意となっていた。 今回の調査結果では、諸外国の先行研究に比較して、頻回救急外来受診者の割合や医療費に 占める割合の少ないことが明らかになった。今後は、この結果が日本の他の地域にも当てはまる傾向なのか、もしそうであればなぜ日本では少ないのかなどの研究に繋げていく予定である。また、海外では患者・医療機関双方の負担を減らすために頻回救急外来受診を適切に減らす方法が検討されており、日本でもその様な研究に繋がっていくと考えられる。
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