研究実績の概要 |
技術的な進歩にともなって疾患の遺伝的要因が大規模な集団を対象とした研究で明らかにされてきた。それに伴って、ここ数年では個人のゲノム情報をもとにして疾患の予測をすることが注目を集めている。しかしながら、欧米人を対象とした研究では、これまでのリスク予測モデルに遺伝的な要因を加えても大きな性能改善がみられないという報告があった。そこで、我々は日本人集団を対象として、ゲノム情報、基本特性(年齢、性別)などの背景情報をもとに、「解釈が容易かつ精度の高い」モデル構築を目指し、慢性腎臓病(CKD)の予測モデルを構築することを目的とした。 本研究では、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)のベースライン調査参加者のうち、既にジェノタイピングされた約14,000名の日本人集団を対象者として研究を実施した。「解釈が容易かつ精度の高い」という点から正則化回帰モデルという機械学習の一種を用いて複数のモデルを比較した。 その結果、Lasso回帰およびelastic netと呼ばれる手法において、通常用いられる線形回帰モデルよりも少ない変数でより誤差の少ないモデルを構築できることができた。ただし、性能の向上はわずかであったことから、今後の検討が必要である。
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