研究課題/領域番号 |
19K21466
|
配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 詩織 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60823391)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 遠隔看護システム / がん疼痛緩和 / 外来進行がん患者 |
研究実績の概要 |
がん疼痛は、進行とともに複雑化しQOL低下の要因である。現在、わが国では医療改革による在宅療養が推進され、がん疼痛をもつ外来通院中の進行がん患者は在宅においてセルフマネジメントを必要とする。しかし、在宅療養を継続するための疼痛セルフマネジメント確立支援が希薄しており、疼痛緩和に有効な看護支援システムの開発は急務の課題である。本研究の目的は、外来通院治療中の進行がん患者を対象に、進行期に最も多い苦痛症状であるがん疼痛緩和に向けた新たな支援としてタブレット端末を用いた「がん疼痛セルフマネジメント遠隔看護システム」を開発し、その有効性を検討することである。 2018年度は、「がん疼痛セルフマネジメント遠隔看護システム」開発における原案作成を行った。原案作成では、遠隔看護研究実績のある大学院教員、緩和医療専門医、がん薬物療法専門医、がん看護専門看護師、がん性疼痛看護認定看護師等のスーパーバイズを受けながらの原案を開発した。さらに、システム運用に関するネットワークシステムとして機密性の高い閉域網の構築を行った。 2019年度は、システムの有効性検討として「フェーズ1 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:医療者及び患者によるシステムに対するインターフェイス評価(東北大学大学院医学系研究科倫理委員会承認番号:2019-1-33)」および「フェーズ2 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:無作為化比較試験(東北大学大学院医学系研究科倫理委員会承認番号:2019-1-499)(UMIN試験ID:UMIN000038334)」を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、2018度に「がん疼痛セルフマネジメント遠隔看護システム」を開発し、2019年度は、開発したシステムを用い「フェーズ1 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:医療者及び患者によるシステムに対するインターフェイス評価」および「フェーズ2 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:無作為化比較試験」を実施した。 フェーズ1は、2019年7月~8月に実施した。調査は、患者10名および医療者10名の計20名に質問紙調査およびシステムタスク達成時間を評価し、システムが適応可能性を確認した。 フェーズ2は、2019年12月から調査を実施した。調査は、フェーズ1の結果を踏まえたシステムを用いて、48名(介入群24名、対照群24名)を対象にした。本年度は、20名(介入群9名、対照群11名)が登録を完了した。調査は、2021年度まで期間を延長し、予定症例数を確保し、データ解析を実施する。 計画では、2019年4~6月にインターフェイスを評価し、2019年7月~2020年1月まで無作為化比較試験を予定していた。しかし、検証に必要な安全な閉域網を構築する環境整備が遅延し、研究開始時期に変更を必要とした。そのため、短期間に対象者を登録するために、対象診療科を拡大して実施している。2021年度まで事業期間を延長し、承認を受けた。以上より、現在の進捗は遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、引き続き無作為化比較試験を検証していく。調査開始後、4か月で約半数の登録が可能であったため、本年度中に登録が完了する見込みである。登録後は、データ解析を実施し、考察を深め、関連学会および論文投稿で研究内容を発表、報告していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
生じた余剰金は検証に伴うシステム運用の通信費である。調査開始が遅延したことで発生した。この余剰金は、2021年度まで延長した事業期間において、システム運用に伴う通信費として使用する見込みである。
|