がん疼痛は、進行とともに複雑化しQOL低下の要因である。現在、わが国では医療改革による在宅療養が推進され、がん疼痛をもつ外来通院中の進行がん患者は在宅においてセルフマネジメントを必要とする。しかし、在宅療養を継続するための疼痛セルフマネジメント確立支援が希薄しており、疼痛緩和に有効な看護支援システムの開発は急務の課題である。本研究の目的は、外来通院治療中の進行がん患者を対象に、進行期に最も多い苦痛症状であるがん疼痛緩和に向けた新たな支援としてタブレット端末を用いた「がん疼痛セルフマネジメント遠隔看護システム」を開発し、その有効性を検討することである。 2018年度は、「がん疼痛セルフマネジメント遠隔看護システム」開発における原案作成、システム運用に関するネットワークシステムとして機密性の高い閉域網の構築を行った。 2019年度は、システムの有効性検討として「フェーズ1 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:医療者及び患者によるシステムに対するインターフェイス評価(東北大学大学院医学系研究科倫理委員会承認番号:2019-1-33)」を実施した。その結果、システムに対する「構成のわかりやすさ」および「内容の信頼性」においてよい評価を得た。そのシステムを利用し、2019年から現在に至るまで「フェーズ2 進行がん患者のがん疼痛緩和に向けた遠隔看護システムの効果検証:無作為化比較試験(東北大学大学院医学系研究科倫理委員会承認番号:2019-1-499)(UMIN試験ID:UMIN000038334)」を実施している。コロナによる感染拡大に伴い、一時研究中断を要しており、現在も調査継続している。
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