研究実績の概要 |
本研究の目的は、中小企業の被用者を対象とした保険者のレセプトデータ及び健診データを使用し、①禁煙維持と所得・職種との関連、②禁煙維持と生活習慣の関連、③禁煙維持と禁煙治療の有無との関連を明らかにすることである。平成30年度に対象者の抽出と分析の一部を行い、平成31年度に分析と評価、学会発表、論文作成を行うことを計画した。 平成30年度は、健診データを使用し、2015年度に健診を受けた被保険者385,945名の喫煙率について、性別、年齢、所得、業態別に評価した。対象者の喫煙率は36.3%で、我が国の喫煙率よりも高かった。業態別で分析を行ったところ、公務や教育・学習支援業、医療福祉など、禁煙支援や受動喫煙防止対策が法により定められている職場環境にある業態の喫煙率は低かった。一方で、運輸業の喫煙率は51.1%と最も高く、次いで鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、飲食業、娯楽業で4割を超えていることがわかった。最も喫煙率が低かった属性を基準にし、ロジスティック回帰分析を行ったところ、教育・学習支援業が公務に対して有意に低く、それ以外全ての業態でオッズ比は有意に高かった。所得別に分析を行ったところ、女性は所得が低い方が業態による喫煙率に有意差が見られ、業態による健康格差が顕著であることであることが示唆された。 禁煙維持については、被保険者の健診データから、禁煙実施者約4500件をSQL Serverを用いて抽出した。禁煙維持と所得・職種との関連について、分析を開始したところである。
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