研究課題/領域番号 |
18H06401
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
中山 純果 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (90716169)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠 / 性別役割分業 / 女性看護師 / 共働き / 育児中 |
研究実績の概要 |
2018年度は、家庭における夫婦の役割分担のあり方が育児中の共働き女性看護師の睡眠確保に及ぼす影響を検証するため、文献レビューに基づき仮説モデルを構築し調査票を作成した。文献レビューは、PubMed、医学中央雑誌等の医学系データベースに加え、Google Scholar等のデータベースを用い、2000 年から2018 年公表でかつ英語または日本語の論文を対象とした文献検索を行った。労働者全般、育児中の女性労働者、看護師を対象とした研究知見に基づき、育児中の女性看護師の睡眠に影響を及ぼす要因に関する知見を整理した。その結果、労働者全般においては、職務ストレス、労働時間、職場でのサポート等、育児中の女性労働者においては、家事・育児・介護の時間、ワーク・ファミリー・コンフリクト等、看護師の職務特性要因としては、夜勤・交代制勤務の形態や従事期間等が睡眠への影響要因として報告されていた。しかしながら、夫婦の相互作用による影響に着目した研究としては、夫婦の性別役割分業意識が夫婦の運動習慣に格差をもたらすとの報告は見られたが、睡眠確保をアウトカムとした先行研究は見当たらなかった。 本研究では、わが国で性別役割分業が根強い現状ならびに文献レビューの結果を受け、仮に、職場による仕事と家庭の両立支援により労働時間が適正化した場合においても、家庭において夫婦の性別役割分業意識が伝統的である場合には、夫の家庭労働時間は延長せず、結果として妻は仕事と家庭の双方の労働を担うことで総就床時間が短縮され得るとの仮説を設け検証することとした。 2019年度は、睡眠確保が阻害されやすい対象と考えられる育児中の共働き女性看護師を対象とし、夫婦単位の調査を実施し、先行研究で睡眠の影響要因とされる要因を制御した上で、夫婦の役割分担状況および性別役割分業意識が睡眠確保に及ぼす影響を統計的に検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2019年度は調査の実施および統計的手法による仮説モデルの検証であった。2018年度の実績として仮説モデルの構築および調査票の作成までは完了しているが、現在、対象施設から調査協力の同意書の回収中であり、目標とするサンプル数の確保に必要な調査対象施設数の確保に至っていないため、現時点で調査を開始できていない。 対象施設の確保は、全国病院リストをもとに研究計画に従い対象者数を確保するために無作為抽出によって調査対象施設を抽出し、抽出された施設に調査依頼状を送付し、調査に協力できる場合には同意書の返送を依頼する方法を用いているが、最終的に目標とする調査対象施設数の確保が困難と判断されれば、調査対象者の確保に向けた新たな研究推進の方策を図る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現在、調査対象施設に対して調査への協力意向を確認中であるが、5月末の時点で、対象施設からの同意状況が目標とする対象施設数に満たない場合は、調査協力の依頼状を送付した施設に対し、個別の電話による同意書返送の再依頼および調査研究の意義の説明や質問対応等を行い、対象施設の確保に努める。また、必要に応じて、新規の調査依頼施設を確保するため追加の無作為抽出を実施し、調査依頼施設数の拡大を図る。 今後の予定としては、同意書の返送が得られた施設から順次、調査を開始し、調査票を回収する。回収後の調査票は、順次、エディティングを実施しデータ入力を開始する。回収数が予定する分析手法の適応が可能なサンプル数に到達し次第、統計分析を開始する。
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