研究課題/領域番号 |
19K21488
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
鵜飼 友彦 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (80729195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インフルエンザ / 予防接種 / パンデミック |
研究実績の概要 |
2009年の新型インフルエンザH1N1pdm09ウイルスの出現によるパンデミックでは、患者の多くは若年者において発症し、高齢者ではその発症は少なかった。しかしながら、どの年齢階級がどの程度の免疫を有し、それが感染阻止にどれだけ役立っているのかを調べた研究はほとんどない。本研究では、2009年インフルエンザパンデミックの前後で採取された冷凍保存ペア血清を用い、年齢階級毎に、赤血球凝集阻止試験に加えて中和試験で測定することでウイルスに対する血清抗体価を多角的に調べる。この研究が、今後の新型インフルエンザを含むインフルエンザパンデミック対策に資することが期待される。 研究では、男性141名、女性100名が参加し、2009年(流行前)の新型インフルエンザ株に対する抗体保有者はの割合は3.3%で、出生年間で有意な差は認められなかった。2010年(流行後)は14.1%であった。年齢階級毎では、2010年の抗体陽転者の割合は、1949年以前の出生者群では7.9%、1950-1959年では8.7%、1960-1969年では10.9%、1970年以降で34.3%で有意な差が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年齢階級毎にH1N1pdm09に対する流行前の抗体保有率、及び流行直後の感染率の算定は終了したが、コロナウイルスの影響等あり、その他のインフルエンザに対する抗体値の上昇の確認ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
インフルエンザ流行前(2009年4月~2009年6月)と流行直後(2010年4月~6月)両方で採取された冷凍保存ペア血清を年齢階級毎に9グループに(40歳未満、40-44歳、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上)に分けて、それぞれ30名分、計270名分を用いる。それぞれの年齢階級でのインフルエンザに対する抗体価を測定する。抗体価はHI試験及び中和試験を用いて測定する。インフルエンザウイルスは、既存のH1N1ウイルスに対する抗体価を測定するためにパンデミック前のワクチン株であるA/ブリスベン/59/2007、H1N1pdm09に対する抗体価を測定するためにA/カリフォルニア/7/2009pdmを用いる。流行前と直後の抗体の比較での4倍以上の上昇を感染と定義し、年齢階級毎にH1N1pdm09に対する流行前の抗体保有率、及び流行直後の感染率を算定する。 上昇した者に対しては、その他のインフルエンザウイルスに対しても抗体価の上昇を確認し、共通の抗原に対する抗体の上昇が起こっていないか確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の体調不良による長期入院、コロナウイルス感染症の流行等により業務負担がふえ、研究への時間が取れなかった。また、次年度2月の住民健診の採血検体を用いて、残額を抗体測定に使用する予定である。
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