2009年の新型インフルエンザH1N1pdm09ウイルスの出現によるパンデミックでは、患者の多くは若年者において発症し、高齢者ではその発症は少なかった。しかしながら、どの年齢階級がどの程度の免疫を有し、それが感染阻止にどれだけ役立っているのかを調べた研究はほとんどない。本研究では、2009年インフルエンザパンデミックの前後で採取された冷凍保存ペア血清を用い、年齢階級毎に、赤血球凝集阻止試験に加えて中和試験で測定することでウイルスに対する血清抗体価を多角的に調べる。この研究が、今後の新型インフルエンザを含むインフルエンザパンデミック対策に資することが期待される。 研究では、男性141名、女性100名が参加し、2009年(流行前)の新型インフルエンザ株に対する抗体保有者はの割合は3.3%で、出生年間で有意な差は認められなかった。2010年(流行後)は14.1%であった。年齢階級毎では、2010年の抗体陽転者の割合は、1949年以前の出生者群では7.9%、1950-1959年では8.7%、1960-1969年では10.9%、1970年以降で34.3%で有意な差が認められた。
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