• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

脳卒中患者における方向認知と姿勢制御の機能的関連性及びその神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K21492
配分区分基金
研究機関浜松医科大学

研究代表者

谷 恵介  浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (20824741)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード方向認知 / 脳卒中 / 空間知覚 / 姿勢制御 / 重力 / MRI / 身体軸 / リハビリテーション
研究実績の概要

近年、脳卒中患者は重力や身体軸の方向を正確に認知できていないことが報告されており、これらの方向認知障害は、転倒など重篤な有害事象を引き起こす姿勢障害の要因の1つとして考えられ始めてきた。しかし、方向認知障害と姿勢障害の関連性を詳細に検討した学術研究は少なく、これらの関連性は不明である。本研究課題の目的は、脳卒中患者を対象として方向認知の障害と姿勢障害の機能的な関連性を実験的に検討するとともに、MR画像を用いて方向認知障害に関与する脳領域を明らかにすることである。
本年度は、回復期病棟入院中の脳卒中患者20例(左半球損傷:10名、右半球損傷10名)を対象に、方向認知障害および姿勢障害を評価し、その関連性を調べた。方向認知障害の程度は、直立位および身体傾斜位において重力または身体軸方向を推定する課題を行わせ、その正確性と安定性により評価した。また、姿勢障害はPostural Assessment Scale for Stroke(PASS)を用いて評価した。
その結果、1)重力方向の推定は比較的正確であるが、身体軸方向は身体傾斜側に傾いて推定されること、2)重力・身体軸方向の推定の安定性は、身体傾斜位で低下し、右半球損傷群ではその低下が大きいこと、3)身体軸方向の推定の正確性は、姿勢障害の程度と関連することが明らかとなった。これらの結果は、脳卒中患者の方向認知障害は姿勢障害の一要因であり、方向認知障害の定量的な評価は脳卒中リハビリテーションにおいて有用である可能性を示唆する。今後も継続して計測を行い、方向認知に寄与する脳領域についても検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究課題では、回復期病棟入院中の脳卒中患者40例を対象に、傾き認知の評価ならびに頭部MRIの測定を行う予定であった。しかし、患者のリクルートならびにMRI測定の実施に遅れが生じあ、本年度終了時点までにすべての計測完了したのは20例にとどまっている。

今後の研究の推進方策

現在、まだ目標症例数には届いていないものの、計測は問題なく実施できている。今後も本研究課題を継続して実施し、目標症例数に達した時点でMR画像を含めた解析を行い、学会発表および学術論文などにより研究成果を発信する予定である。

次年度使用額が生じた理由

行動計測およびMRI測定の遅れにより当初予定していた症例数を測定することができず、次年度使用額が生じた。次年度も継続して計測を行い、その実験参加に関わる人件費(謝金)に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Effect of dynamic visual motion on perception of postural vertical through the modulation of prior knowledge of gravity2020

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Tani、Sho Ishimaru、Shinji Yamamoto、Yasushi Kodaka、Keisuke Kushiro
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 716 ページ: 134687~134687

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2019.134687

    • 査読あり
  • [学会発表] Contribution of subjective body midline to estimating body orientation2019

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Tani, Shintaro Uehara, Satoshi Tanaka
    • 学会等名
      Society for neuroscience 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 重力方向および自己身体軸方向の知覚に及ぼす視運動刺激の影響2019

    • 著者名/発表者名
      谷恵介、田中悟志
    • 学会等名
      第11回多感覚研究会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi