【目的】昨年度までの実験において、暑熱環境下では、暑熱開始直後にゲニステイン群において体温が上昇しにくい傾向が確認された。本年度では、ゲニステイン群、コントロール群それぞれの数を増やすことで再検討をおこなった。【方法】卵巣摘出後の雌ラットをゲニステイン含有食の群(ゲニステイン群)と、ゲニステイン非含有食(コントロール群)に分けた。4週間、各食餌を摂取させ、腹腔内温度、活動量、体重、摂食量、摂水量を1週間に3回の頻度で測定した。4週間後の暗期開始4時間後より、34℃の暑熱曝露を2時間おこない、腹腔内温度と活動量を連続的に測定した。【結果】暑熱環境下における体温推移は、昨年度と同様、群間における統計的な有意差は認められなかった。また、活動量においても有意差は認められず、これも昨年度までの結果と同様であった。そのほか、通常環境下の体温推移については、ゲニステイン群において低い値を示すことが結果として得られた。体重、摂食量、摂水量については群間に有意な差は認められず、同様の推移を示すことが明らかとなった。【考察】以上の結果より、大豆イソフラボンの一種であるゲニステインは、雌ラットにおいて暑熱環境下における体温調節には影響を及ぼさないことが考えられた。これらは、昨年度までの結果と同様であり、再現性の確認が得られた。一方で、ゲニステインについては、熱中症予防の栄養処方としては活用できない可能性が高いことが考えられた。
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