研究課題/領域番号 |
18H06434
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本田 啓太 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (30823314)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 脳卒中片麻痺 / 歩行 / 角運動量 / 転倒 / 活動量 |
研究実績の概要 |
脳卒中片麻痺患者の転倒リスクは健常高齢者の約2倍であり、転倒の多くは歩行中に発生する。歩行時の動的安定性は3次元動作解析システムを用いて定量化することが可能であるが、脳卒中片麻痺患者の歩行時における動的安定性低下のメカニズムは不明である。また、歩行時の動的安定性低下と転倒の関係性も不明な点が多い。本研究の目的は、地域在住の脳卒中片麻痺患者の歩行時における、どの時期のどの方向への動的不安定性が、地域社会での転倒発生頻度及び身体活動量と最も関連するのかを明らかにすることである。 平成30年度は脳卒中片麻痺患者の動的安定性を定量化することを目的に、脳卒中片麻痺患者の歩行時の全身の角運動量に着目して動作解析を中心に実施した。全身の角運動量が大きいことは、歩行が不安定であることを意味する。脳卒中片麻痺患者33名と健常高齢者21名の比較の結果、脳卒中片麻痺患者の麻痺側遊脚期における全身の角運動量は、矢状面において健常者より大きいことが明らかにされた。さらに、麻痺側遊脚期における全身の角運動量を従属変数、歩行時の下肢関節モーメントを独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析の結果、非麻痺側立脚期における膝関節伸展モーメントが麻痺側遊脚期における全身の角運動量を大きくする原因の一つとなり得ることが示唆された。これらの内容は、平成31年度開催の国際学会に演題登録され、ポスター発表として採択された。 現在、脳卒中片麻痺患者の転倒発生頻度と身体活動量に対して、麻痺側遊脚期における全身の角運動量の大きさがどのように影響を及ぼすのかを調査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳卒中片麻痺患者の歩行動作の計測及び解析は順調に進んでおり、脳卒中片麻痺患者と健常高齢者の歩行時における全身の角運動量の相違点が明らかにされた。転倒発生頻度と身体活動量については、脳卒中片麻痺患者での正確な計測のために健常者での予備計測を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は身体活動量計と転倒発生頻度の調査を中心に実施する計画である。 身体活動量の調査では、加速度計を用いて、研究参加者の歩数を5日間計測する。1日8時間以上装着していたことが確認された日のデータを採用し、1日あたりの歩数の平均値を算出する。 次に、転倒発生頻度は、1. 登録日以前6ヶ月の転倒歴の問診と2. 転倒カレンダーを用いた登録日以降6ヶ月の転倒の調査を行う。 収集したデータをもとに、1日あたりの歩数及び転倒歴の有無を従属変数、歩行時における全身の角運動量の特徴量を独立変数として、重回帰分析及び多重ロジスティック回帰分析をそれぞれ行い、両者の関係を明らかにする。
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