研究実績の概要 |
令和元年度は、昨年度から開始したコホート研究のフォローアップ調査を実施し、研究を終了した。2019年2~3月にかけて、本研究のテーマに興味がある3企業から協力の内諾を得て、同企業で働く労働者263名が研究に参加した。参加者には事前に説明文書、およびWeb調査画面を通じて研究の概要について説明を行ったうえ、研究参加が任意であり強制力が働かないことを保証した。全ての参加者から、Web調査画面において「同意して回答を開始する」ボタンの押下によって同意を取得した。 フォローアップ調査は、2019年6月、2019年9月、および2020年3月の3回に実施し、参加者の大うつ病エピソードの経験を構造化された質問紙によって聴取した。得られたデータに対しては2020年4月に解析を行い結果をまとめた。1年間のフォローアップにおけるハザード比をベイズ推定によって求めた結果、職場において9.5時間以上座っている労働者は、そうでない労働者と比較して、およそ2倍大うつ病エピソードの発症リスクがあると推定された (HR = 2.02, 95% highest density interval: 0.41, 10.07)。事後分布に基づく、座位行動が大うつ病エピソードの発症に対して有害である確率は81.5%と推定された。現在、この結果を論文にまとめ、国際学術誌 (Journal of Affective Disorders) へ投稿中である。得られた結果は、企業の担当者、および研究参加者に後日フィードバックを行う予定である。 本研究に関連し、労働者のメンタルヘルスに関わる学会発表を1件、および12編の査読付き論文が公開された。
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