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2018 年度 実績報告書

膝蓋腱障害の病態解明と治療法開発:エコーによるヒト疾患と動物モデルのリンク

研究課題

研究課題/領域番号 18H06437
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

金本 隆司  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20512049)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワード動物疾患モデル / 超音波診断装置 / 個体差
研究実績の概要

①研究体制の整備:膝蓋腱障害モデルラットの作成のため、必要物品の整備・購入(トレッドミルの設置・調整、超音波診断装置関連の物品購入と描出能の最適化、外科処置器具・薬剤購入)を行った。これらの設備を使用して、麻酔下のラットの膝蓋腱の横断面・縦断面の描出が可能であり、筋組織の識別および坐骨神経などの描出が可能なことを確認した。これらの結果、超音波ガイド下での薬液注入や膝蓋腱の非侵襲的縦断評価など、本研究の独自性を担保する手技が可能と判断できた。
②膝蓋腱障害モデルラットの作成および評価法の検討:本研究の中心的なモデルと位置付けているオーバーユースモデルの作成に注力した。膝蓋腱の正中1/3を切除した上で、先行論文(Yoshida M et al., Muscles Ligaments Tendons J. 2016など)を参考にしたトレッドミルでの走行負荷を加える方針で研究を進めた。1)膝蓋腱切除後の自然治癒の把握、2)トレッドミルへの順応と個体差への対応、3)外科的処置後の膝蓋腱の超音波評価について、それぞれ検討を行った。1)腱組織のみの切除の場合、1ヶ月の短期間では腱切除部に形成される組織は瘢痕様であり、腱様組織は見られなかった。骨切除(膝蓋骨及び脛骨結節より採取する自家腱採取時に通常行われる手技)を同時に行った場合には、同時期に腱様組織が一部観察された。2)14匹のラットでの検討を行った。自発運動量の個体間差は大きくまた、複数回の訓練を経ても、通常用いられるプロトコール(速度、時間)での走行負荷に対応できない個体が存在した。これらの結果、自発運動量・トレッドミルへの対応能力などから選別した個体でのモデル作成が必要であると結論づけた。また、腱切除時に骨切除を加えることが、組織治癒にpositiveな影響があることが示唆される結果に関しては、学会発表の参考とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膝蓋腱障害モデルラットの作成のための必要物品(トレッドミル、超音波診断装置関連の物品、外科処置器具など)の整備・購入は予定通りに進んだ。主眼である運動負荷による膝蓋腱障害モデルラットの作成の問題点が複数同定できており、対処法を考案しつつ、研究を推進している。超音波診断装置による膝蓋腱の形態評価に関しても、手技として確立できている。病態解明・治療法開発への応用を目指して、モデル動物作成の確立を目指す。

今後の研究の推進方策

①膝蓋腱障害モデル(ラット)の比較:運動負荷によるオーバーユース“treadmill model”を中心に、液体窒素を用いる“in situ freezing model”、コラゲナーゼの腱内注入による“collagenase-induced model”を作成する。それぞれ、個体としての自発運動量(疼痛による影響の指標として)、 エコー所見、組織学的・分子生物学的評価を行う。②膝蓋腱障害に関与する分子の探索:病巣を含んだ腱組織から抽出した転写産物をテンプレートとして、正常組織と比較した遺伝子発現プロファイリングを行う。得られた遺伝子が、腱障害と関連した発現を有するものであるかどうかを、動物モデルでの発現や腱細胞レベルでの遺伝子操作によって検討する。③治療法の検討:Eccentric exercise(遠心性運動)、エコーガイド下のHydro-Release(膝蓋腱と皮下組織・膝蓋下脂肪体間の液性剥離)、エコーガイド下の病巣周囲への薬液注入(ヒアルロン酸、ステロイド)、Whole body vibration などによる介入の効果を、エコー所見、自発運動量、組織学的評価を用いて検討する。④腱障害が個体に与える影響と介入による効果の評価として、活動量や痛覚測定など検討中である。個体差などを考慮して、変化量に注目しながらの評価法確立を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 骨付き膝蓋腱採取後の膝蓋骨骨欠損部の術後エコー評価2018

    • 著者名/発表者名
      金本隆司、内田良平、塩崎嘉樹、堀部秀二
    • 学会等名
      第30回日本整形外科超音波学会

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公開日: 2019-12-27  

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