研究課題/領域番号 |
18H06443
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
越澤 亮 日本大学, 経済学部, 講師 (80822791)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 視線活動 / EEG / 移動予測 / 追跡眼球運動 / 時間-周波数解析 |
研究実績の概要 |
ターゲットの移動を予測する際の視線活動に関するこれまでの研究の多くは,特定の位置に視線を向けた時間や回数,サッケードの回数を検討したものがほとんどである。また,視線活動と同様,ターゲットの移動予測に関する脳研究の多くは,一連の課題を通して活動する脳領域の解明にとどまっている。そこで本研究では,ターゲットの移動予測時の視線活動とEEGを,ミリ秒オーダーで同時計測をすることで,どのような脳内処理の下で,どのような視線活動を遂行しているかを明らかにする。 本年度は,等速で移動するターゲットと重力加速度が加わったターゲットを用いて,ターゲットを眼球で追跡している時にはどのような脳内処理の下で,どのような視線活動を遂行しているかを検討した。 視線活動の結果は,等速移動よりも重力加速度が加わったターゲットの方が,課題後期にターゲットに対する注視点の誤差が増加した。 脳活動様式の結果は,等速移動よりも重力加速度が加わったターゲットの方が,課題後期に前頭と後頭領域で10 Hz未満の周波数活動が増加した。重力加速度によってターゲットが加速される中,眼球によるターゲットの追跡を反映しているものと考えられる。 重力加速度が加わったターゲットを眼球で追跡している時の脳活動様式をさらに詳しく検討してみると,課題後期では前頭領域,側頭領域,視覚領域におけるθ・α波帯域の活動の増加によって,重力加速度に関する内部感覚を基に移動するターゲットを追跡していることが示された。また,移動ターゲットの加速途中では,側頭領域,頭頂領域におけるβ波帯域の活動の増加によって,ターゲットの動きを注意深く分析することによる視覚情報処理と,重力加速度に関する内部感覚の統合を計っていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は,①等速で移動するターゲットを用いて,ターゲットを眼球で追跡している時には,どのような脳内処理の下で,どのような視線活動を遂行しているかを明らかにすること,②現実世界で物体が移動する時に受ける重力の影響を考慮して,重力加速度がある状況では,ターゲットを眼球で追跡している時に,どのような脳内処理の下で,どのような視線活動を遂行しているかを明らかにすること,以上の2つであった。 上記の目的を達成できるよう,早い段階で実験を行った。実験は14人の被験者がコンピュータディスプレイ上を移動するターゲットに対して眼球で追跡する課題であった。まず課題1として,等速で移動するターゲットを用いた。また課題2として,実際のターゲットが移動する時に受ける重力の影響を考慮して,重力加速度がある移動ターゲットを用いた。課題中の視線活動は,被験者から0.6m離れた19インチのコンピュータディスプレイタイプの視線計測装置であるGazefinderを用いて,サンプリング周波数50Hzで記録した。脳活動様式は,モバイル型多チャンネル脳波アンプeego sportsを用いて,頭皮上32ヵ所からサンプリング周波数1000Hzで記録した。その後,実験データの解析処理および統計処理を行い,論文投稿,査読対応,論文受理まで到達することができた。以上のことから,本年度の研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,コンピュータディスプレイ上でターゲットが移動途中で遮蔽される中,眼球によってターゲットを追跡する課題時にどのような脳内処理の下で,どのような視線活動を遂行しているかを明らかにする。 まず4-6月の期間に設備備品や実験に必要な機器備品を揃える。また同時期に実験の準備を行う。課題は,コンピュータディスプレイ上でターゲットが移動途中で遮蔽される中,眼球によってターゲットを追跡する課題を行う。まず課題1として,等速で移動するターゲットを用いる。また課題2として,実際のターゲットが移動する時に受ける重力の影響を考慮して,重力加速度がある移動ターゲットを用いる。課題中の視線活動は,被験者から0.6m離れた19インチのコンピュータディスプレイタイプの視線計測装置であるGazefinder (JVCKENWOOD社製) を用いて,サンプリング周波数50Hzで記録する。脳活動様式は,モバイル型多チャンネル脳波アンプeego sports (ant neuro社製) を用いて,頭皮上32ヵ所からサンプリング周波数1000Hzで記録する。 次に7-8月に15名の実験参加者の協力の下で実験を行う。また8-11月に実験データの解析処理,統計処理を行う。ターゲットと視線の向けられた位置を基に,距離 (=誤差)をミリ秒オーダーで求める。記録された脳波は,時間―周波数解析を行う。これは,ターゲットと視線の向けられた位置関係に伴い,脳波のどの周波数成分が変化するかという脳活動様式を捉えることができる。11-3月は論文投稿の準備,論文投稿,査読対応,査読結果によっては追加実験を行う。
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