研究課題/領域番号 |
18H06447
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
中井 真悟 常葉大学, 健康プロデュース学部, 助教 (10825540)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | ラット大腿骨 / 鍼通電 / 関節不動化 |
研究実績の概要 |
国内外において鍼などを用いた統合医療的アプローチを骨などの硬組織に応用した治療や研究は少なく、その効果や機序について不明な点が多い。本実験では、小児期のスポーツ外傷後の早期復帰を図るための基礎研究として実験動物を用い、組織学的に比較、検討を行うことによって骨への鍼通電効果の原理を追究することを目的とした。材料として5週齢のウィスター系雄性ラットを用い、後肢を不動状態にする群(IM)、鍼通電刺激を施す群(EA)、対照群(CO)に分類した。IMとEAの後肢膝関節には不動装置を2週間装着した。さらに、EAは皮膚抵抗を排除するため、大腿前面の内側部および外側部にステンレス針を体表から骨膜まで刺入し、2週間の不動期間中に連続的交流鍼通電刺激を250μsec、50Hz、0.24mA(500Ω負荷時)の条件で10分/日、毎日、実施した。実験期間終了後に、大腿骨を摘出して骨膜以外の周囲の軟組織を除去して左脚を速やかに浸漬固定し、右脚は骨強度試験器で破断した。IMには、骨髄腔の開大や皮質骨の骨膜面に吸収像を多く認め、皮質骨内の骨小腔の増大化がみられた。EAでは皮質骨の骨内膜面で骨量減少の顕著な抑制がみられ、StrengthはIMより高値を示した。以上のことから、鍼通電刺激による後肢不動化ラットに生じる骨量減少への抑制効果が示唆された。なお、本実験はヒトへの応用を想定して実験動物を用いたものであるが、電気刺激が骨に直接影響するのか、または、筋収縮を介して生じた牽引力が骨に影響したのかについて断定するに至っていない。また、骨形成促進および吸収抑制にどのような代謝系のもとで行われているかについても検討するに至らず、次年度の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は本学の実験環境が整備されておらず、他大学研究室のご協力のもと実験を遂行してきた。研究計画の3期のうち、基礎実験の『現象の観察』のみ終了している。これまでは実験室設置に時間を要したため、当初の計画よりも進行度が遅れているが、本研究助成の期間内に完結させることを目標として研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2019年度は、他大学で行っていた実験を本学に移すことによって、時間的ロスが軽減されたことから、加速度的に実験を遂行することが可能となった。なお、2019年度は『現象の観察』で得られた結果を報告し、『回復期の介入』と『予防効果の実証・解析』については速やかに進行度の修正を図る。
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