研究課題/領域番号 |
18H06462
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩見 準 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40809795)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 計算機システム / 省エネルギー / 低消費電力化 / スケジューラ |
研究実績の概要 |
本研究では,与えられた時間制約のもと,最小のエネルギーでプロセッサにアプリケーションを処理させるリアルタイム電圧制御システムを世界に先駆けて開発する.具体的には,(1) 稼働状況の変化に応じて最適な制御電圧を瞬時に決定する電圧最適化アルゴリズムを開発し,(2) 実行アプリケーションに応じて電圧をリアルタイムに最適化するスケジューラの開発を行う. 平成30年度は,当初計画で予定したプロセッサの消費エネルギーを最小化するVDDとVBGを決定する最適化問題に取り組んだ.チップ温度や活性化率等の,プロセッサの稼働状況に応じて瞬時に最適なVDDとVBGを決定するリアルタイムシステム向けの電圧制御アルゴリズムを提案した.本研究内容に関し,国内会議で1件,招待講演で1件の発表を行った.研究成果をまとめ,国際会議に1件投稿中である.また,オープンソースのRISC-Vプロセッサの実チップ試作を通し,RISC-Vプロセッサの開拓を行った. 以上の課題遂行のために東京大学大規模集積システム設計教育研究センターを経由して65nm SOTBプロセステクノロジおよび設計CADツールを利用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画の骨子である,リアルタイムシステム向けVDD/VBG最適化手法の開発を行えた.また,SOTB 65nmプロセステクノロジを用いたRISC-Vプロセッサの試作・評価を通し,ソフトウェア・ハードウェア両側面からRISC-Vプロセッサの開拓を行なった.また,実測に基づく検証に向け,稼働状況モニタ回路の実装方式の検討も行った.組み込みOS実装に向け,RISC-Vプロセッサ向けC言語プログラムの開拓も行った.以上のように,概ね予定通りの研究計画で進展しているため,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は開発したアルゴリズムを実現するスケジューラの開発に取り組む.スケジューラは,チップ温度等の稼働状況に基づき,与えられた時間制約のもと,消費エネルギーを最小化するタスク実行時間,VDDおよびVBGを瞬時に決定し,プロセッサを最適値で稼働させる.スケジューラをオープンソースの組み込みOSに移植し,最小のエネルギーでアプリケーションを処理するリアルタイム電圧制御OSの実現を目指す.CPUアーキテクチャとして世界的に認知されているRISC-Vプロセッサコアを用いて検証を行う.当該OSを前年度試作したRISC-Vプロセッサに組み込み,動画処理アプリケーション等を例として,従来手法と比較した提案手法による消費エネルギー削減率をシミュレーション・実測両方の側面から評価する.研究成果をまとめ,論文誌に投稿する.
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