研究課題/領域番号 |
18H06469
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
土中 哲秀 中央大学, 理工学部, 助教 (30824982)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | グラフアルゴリズム / 計算複雑性 / 固定パラメータ容易性 / 近似アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究では,重み付き有向グラフをはじめとする表現力の高いグラフに対して定義されたグラフ最適化問題に対して,近似アルゴリズム,パラメータ化アルゴリズム,パラメータ化近似アルゴリズムなどの高速高精度グラフアルゴリズムの設計を目指す.
本年度の研究成果として,有向グラフ最適化問題のひとつである有向辺支配集合問題に対して,4種類のアルゴリズムを開発した.具体的には,(1) 一般グラフにおける定数近似アルゴリズム,(2) 木幅に関する固定パラメータアルゴリズム,(3) 解の大きさに関する固定パラメータアルゴリズム,(4) 前処理アルゴリズムの一種である核化アルゴリズムの開発に成功した.(1)は,最適解ではないものの準最適解を高速に求めることができるアルゴリズムであり,(2)は,グラフが木構造に近いとき,(3)は,得られる解の大きさが小さいグラフのとき,高速に解を求めることができるアルゴリズムである.また,(4)は前処理によってインスタンスのサイズを小さくし,解を高速に求めるものである.これらのアルゴリズムに加えて,有向グラフ特有のグラフクラスである有向無閉路グラフとトーナメントグラフにおける有向辺支配集合問題の計算複雑性も一部解明した.
さらに,近年,人工知能分野で研究が盛んに行われている効用関数付きグラフ分割問題に対する研究も行った.このような効用関数付きグラフは可変重み付きグラフとみなすことができる.本研究を通して,木における効用関数付きグラフ分割問題に対する線形時間アルゴリズムの開発と4-正則平面グラフにおける計算困難性の証明に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,有向グラフ最適化問題に対して,近似アルゴリズム,パラメータ化アルゴリズムなどの高性能アルゴリズムの設計に成功しており,研究成果としては,順調に成果が上がっていると考えている.可変重み付きグラフ最適化問題である効用関数付きグラフ分割問題に対する線形時間アルゴリズムが得られたことも理由の一つである.これらの研究成果は,Elsevier社の査読有ジャーナルDiscrete Applied Mathematicsから一編,計算機科学分野で認知されているSpringer社のLecture Notes in Computer Science (採択率が1/3程度) から1編出版されており,関連分野の研究者にとって関心のある成果を上げていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,現在まで順調に研究成果が上がっている.よって,基本的な方針は変えずに,研究を進めていく予定である.具体的には,これまでの研究により得られた有向グラフや重み付きグラフに対するアルゴリズム設計の知見をもとに,様々なグラフ最適化問題に対して,高速高精度アルゴリズムの設計を行う.
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