研究課題/領域番号 |
19K21537
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土中 哲秀 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (30824982)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グラフアルゴリズム / 計算複雑性 / パラメータ化アルゴリズム / 近似アルゴリズム |
研究実績の概要 |
重み付きグラフや有向グラフ,重み付き有向グラフにおけるグラフ最適化問題は社会ネットワークや取引ネットワークなどの様々な実ネットワーク上の問題を定式化することができる.このような表現力の高いグラフに対して定義されたグラフ最適化問題に対する近似アルゴリズム,パラメータ化アルゴリズム,パラメータ化近似アルゴリズムに関する研究を行い,本年度は以下の研究成果を得た. (1)ネットワーク親和性に関するグラフ最適化問題である幸福集合問題に対する各種グラフパラメータに関するパラメータ化アルゴリズム,最大次数Δに関する(2Δ+1)-近似アルゴリズム,真区間グラフ,ブロックグラフに対する多項式時間アルゴリズム,及び2部グラフ,平面グラフに対する計算困難性を与えた.さらに, 最大次数Δに関するパラメータ化近似アルゴリズムを与えた. (2)ラジオ周波数割当を定式化したグラフラベリング問題に対する木幅と最大次数,及び最大クリークサイズとツイン被覆数に関する固定パラメータ容易アルゴリズムを設計した.これは,これまで知られていた頂点被覆数をパラメータとした固定パラメータ容易性の結果を強めたものである.また,ツイン被覆数に関するパラメータ化近似アルゴリズムを設計した. (3)マッチング問題を一般化した席配置問題に対して頂点被覆数をパラメータとするXPアルゴリズムを設計した.さらに,頂点被覆数に関して固定パラメータ容易アルゴリズムが存在しないと予想されるW[1]-困難性を示した. (4)パス埋込問題,グラフ2等分割問題,最大連結カット問題,最大極小セパレータ問題に対する各種グラフパラメータに関するパラメータ化アルゴリズムの開発,及びその計算複雑性の解析を行った.また,最大極小フィードバック点集合問題に対する近似アルゴリズム,及び解サイズに関する多項式カーネルを与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように,当初の予定通り,様々なグラフ最適化問題に対して,近似アルゴリズム,パラメータ化アルゴリズム,及びパラメータ化近似アルゴリズムの設計に成功している.これらの研究成果は,Elsevier社の査読有ジャーナルTheoretical Computer Scienceから2編,Springer社の査読有ジャーナルAlgorithmicaから1編論文が出版された.さらに,計算機科学の査読付き国際会議プロシーディングスとして,Springer社のLecture Notes in Computer Scienceから5編,Schloss Dagstuh-Leibniz-Zentrum fur InformatikのLeibniz International Proceedings in Informatics (LIPIcs)から1編出版された.,以上より,順調に成果が上がっていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,現在まで順調に研究成果が上がっている.今後は,現在までに得られている研究成果を取りまとめ,研究成果発表および論文投稿をしていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型感染症(COVID-19)の影響により,参加予定であった国際会議がオンラインへの変更となったこと,および出張旅費の使用が困難になったため. 新型感染症の状況を見つつ,出張またはオンライン会議用の設備を整えるために使用する予定である.
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