本研究の目的は、どのような対話ロボットが気遣いや心配りを通じたユーザに良い感情経験を提供するサービスをどの程度行うことができるのか、また人以上のことができるのか、を調査することである。 本年度は、気遣いや心配りを通じたユーザに良い感情経験を提供するサービスに関する、居住空間(例えば、自宅やホテル部屋)でのインタラクションデザインに着目し、探求を行った。まず、居住空間における対話ロボットの受容度、を調査した。結果として、マイクやカメラ等のセンサによるプライベート侵害への懸念等により、居住空間へ設置を受容する人は3割強に留まった。一方で、センサ等のプライベート侵害への懸念は、センサがロボットに組み込まれ、対話ロボットの感覚器官として表現することで、抑制できる可能性が認められた。また、居住空間において対話ロボットに情報提供を兼ねたつぶやきを行わせたところ、テレビの垂れ流しと同様に、ユーザは受け流し、煩わしさを感じない可能性が示された。本成果は、国外会議(Australian Conference on Human-Computer-Interaction)にて発表した。 次に、ロボットのデザインについて着目し、気遣いや心配りを通じたユーザに良い感情経験を提供するサービスに、人間のような身体の必要性について調査した。成果として、スマートスピーカーなどの無機物の外見をもつデバイスに比べて、身体性を持つロボットの方が、はるかに気遣いや心配りを通じたユーザに良い感情経験を提供できることが示された。本成果は、国際会議(International Conference on Intelligent Robots and Systems)に投稿中である。
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