研究課題/領域番号 |
18H06486
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鳥羽商船高等専門学校 |
研究代表者 |
北村 健一 鳥羽商船高等専門学校, 商船学科, 助教 (00825440)
|
研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
キーワード | イオンセンサ / ポリマー / ドリフト / 唾液硝酸 / 操船シミュレータ |
研究実績の概要 |
操船時におけるベテラン操船者の、他船の接近による衝突の恐れといった自船に対する危険な要因を認知する場面を生理指標によりとらえることで、その場面におけるベテラン操船者の認知を若手操船者へ容易に伝達可能とすることを研究背景としている。唾液硝酸イオンを心的負荷の評価に有効な生理指標として着目し、操船者を対象に心的負荷評価の実現に挑戦している。研究目的としては、唾液硝酸イオンを定量評価できる測定器の開発とするが、具体的にはその測定器を構成する唾液硝酸イオン選択カクテル(薄膜)の追求である。唾液硝酸イオン測定器は、ISFETs(Ion-sensitive field effective transistors)と呼ばれるセンサに、硝酸イオン検知物質であるligandを含む薄膜を張ることで完成する。 本年度は、実際の現場環境における操船者の心的負荷評価が可能であると示された、ポリマーBを唾液硝酸イオン選択カクテルに採用する従来の測定器に対して行った実験結果と比較して、ポリマーAを採用する唾液硝酸イオンカクテルを採用する新規に使用した測定器の優位性を検証した。その優位性には、唾液に対する測定値の安定性・応答性・選択性・耐久性(安定性等)が挙げられる。これら安定性等の発生要因を確実に掴んでいっており、目指している唾液硝酸イオン測定器の確立に向けて着実と進んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画実施研究予定の期間は2018年10月-2019年3月の六か月であったが、その間に当初の研究計画に沿って、購入を予定していた物品および他研究者よりお借りする予定であった実験器具が揃えられたため、所属する鳥羽商船高等専門学校において日常的に実験を行うことが可能となり、実施した。2018年9月5日に催された生命倫理委員会へ出席していたため、実験器具が揃い次第すぐの実験実施が可能となった。実験内容は当初の計画通り、人工唾液及び実唾液を対象に、ポリマーAに関するドリフト実験及び検量線データ作成といった基礎的なものであった。 鳥羽商船高等専門学校で実施する日常実験内容では実験結果に対する精査が足りないため、実験環境の整っている産総研・阪大 OILへ週に一度実験を行いに出張した。出張の許可は、現所属先の鳥羽商船高等専門学校および昨年度より研究環境の一つであった産総研・阪大 OILから既に得ていたため、本出張は滞りなく実現し、そこでの実験も従来と同様に実施することが可能となった。産総研・阪大-OILでの実験内容としては人工唾液に対する、ポリマーAを採用する唾液硝酸イオン測定器の安定性・応答性・選択性・耐久性を検討した。 本研究に必要なサンプル数は不足しているものの、申請時当初に設定した無理のない研究計画は滞りなく進んでおり、評価区分を「(2)おおむね順調に進展している。」とした。 一方で、実験環境の準備が想定よりも早かったため、本科研費の申請当時に次年度での実施を予定していた、操船シミュレータ訓練下の操船者を対象に、ポリマーAを採用する唾液硝酸イオン測定器により心的負荷評価実験を本年度に前倒しで実施した。ここでは、操船シミュレータシナリオの操船危険海域と心的負荷の相関性を掴むことを目的とし、それは達せられた。現在結果は解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
ポリマーAを採用する唾液硝酸イオン測定器の安定性・応答性・選択性・耐久性といったものを評価しているが、まだまだ唾液のサンプル数は足りないと感じる。産総研・阪大 OILおよび本学所属の学生とともに、引き続き必要な唾液サンプルを集めていく。
|