視触覚センサによる把持中の物体姿勢の推定手法を構築し、ロボットによる組立作業などにおける作業効率を高めることを目的とする。前年度にはセンサ系を試作し、姿勢推定アルゴリズムのあたり付をした。 今年度はアルゴリズムを実装し、実用的な応用検証を進めた。具体的には、バラ積みされた状態のねじをロボットが取り出した際に、何本のねじをどのような方向で握っているのかの推定を実施した。視触覚には柔らかい天然ゴムのシートを貼り付けたカメラ付きグリッパを試作し、握ったネジを天然ゴムを通してカメラで観測できる構成とした。ResNet50をベースとした状態識別アルゴリズムにより、200枚規模の観測画像データベースに対して識別を実施したところ、ネジの姿勢・本数を96.8%の正解率で認識することに成功し、産業応用の可能性を確認することができた。研究チームにて、2019年の計測自動制御学会SI部門の学術講演会で本成果を発表したところ、優秀講演賞を受賞した。 最終年度の目標は、電気電子部品3種類の姿勢推定を提案する視触覚で実現することとしていた。今回はその当初の目標よりも難しい、複数の同一部品の姿勢・数を含む状態識別が可能となることを確認できた。これにより産業応用の可能性を示すことができたことから、今後は企業との共同研究も視野に、多品種への応用やデータベース作成の効率化、Sim-to-Realの活用などの課題を検討していきたい。
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