下水再利用システムの普及・拡大のためには,個別の化学物質によらず処理水の毒性を包括的に評価することが重要であるとともに,毒性作用の原因物質を迅速に検出する手法の開発が不可欠である。本研究では,広範な下水試料に対して水質分析および細胞毒性試験を実施してデータベースを構築し,細胞毒性に影響する水質パラメータをケモメトリクス的手法により探索した。208件のデータセットに対してElastic net回帰を実施した結果, 細胞毒性の増加に寄与する16個の水質パラメータが推定された。推定された蛍光特性値に基づき,比較的高分子かつ疎水性の有機物が下水由来の細胞毒性に寄与する可能性が示唆された。
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