研究課題/領域番号 |
19K21557
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 麻理子 信州大学, 全学教育機構, 准教授(特定雇用) (60826957)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エコツーリズム / 利用者負担 / 自然資源の管理 / 協働型管理運営 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
自然資源の観光利用における利用と保全の両立を目指すには、自然資源の適切な管理と利用者の満足度を高める魅力的な利用の推進が重要である。また、自然資源の保全及び管理において地域住民の担いうる役割は大きく、利用者負担やガイド制度等の経済的側面との関連も含めて効果的な仕組みを運営することが求められている。本研究では、世界自然遺産の登録推薦候補地となっている「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の構成地域の一つである沖縄北部やんばる地域を対象とし、文献調査と現地調査による関係者ヒアリング等の事例調査を実施した。 やんばる地域は平成28年に日本で33番目の国立公園として新規指定を受け、世界自然遺産の登録推薦に向けて科学委員会や地域連絡協議会が組織されている。地元関係自治体である沖縄北部の3村(国頭村、大宜味村、東村)と沖縄県(自然保護課、森林管理課、観光振興課)、国機関の環境省那覇自然環境事務所、沖縄森林管理署のほか、地元3村の観光やガイド関係者、一次産業関係者等の多くの関係者による協働型管理運営が模索されている地域でもある。さらに、世界遺産登録推薦プロセスにおいて今後予想される来訪者の増加を踏まえ、新たな観光管理計画等の検討も行われている。 これらの自然資源の持続的な管理、利用について地域住民が様々な形で参画・関与する取組について、文献調査と現地調査によるヒアリングを実施した。主に地元自治体、活動の運営を担う団体関係者、周辺の観光関係者等を対象とし、特に、地域の自然資源の管理や保全に地域住民が主体的に関わる活動として、林道パトロール事業、マングース防除事業の作業員、民泊事業、地域住民主体の森林ツーリズムガイド制度に着目し、検討経緯や活動実施状況、これまでの活動成果の整理、効果的な運営方法に関する検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献詳細調査と現地調査によるヒアリングは順調に進捗し、事例調査主対象地のやんばる地域における、地域の自然資源の管理や保全に地域住民が主体的に関わる形での活動実施状況、これまでの活動成果の整理、効果的な運営方法の検討、利用者負担などの来訪者による活動との関連性の検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、沖縄北部やんばる地域を主要な対象地とし、特に、世界自然遺産登録推薦のプロセスの進捗において今後予想される来訪者の増加を踏まえた、地域住民主体の資源管理及び利用の推進について検討を行う。しかしながら、現在のコロナウイルス対策の状況を鑑みて、世界遺産の登録審査に関する国際会議の延期決定や、世界的な観光業全般の置かれている状況、また国内における移動制限や自粛によるヒアリング調査等の実施の課題を十分に踏まえながら実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
自然資源の観光利用における保全及び管理の事例調査について、研究目的をより精緻に達成するため、地域住民やガイドの参画事例に関する直近の条例や入島税設定等による事例の追加調査が必要となることが判明したため、当初予定していた旅費の支出を抑えたことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて、追加事例調査にかかる旅費として使用する予定である。
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