研究課題/領域番号 |
19K21565
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
原 正彦 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (50181003)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 自然知能 / 知覚と造形 / 社会的価値の創出 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の目的の主幹となる、人工知能だけでは実現出来ない、その上位の原理としての自然知能という視点に基づく、自然界の生物や化学進化反応のダイナミクスなどに対する知覚と造形から、新しい社会的価値の創出を目指し、英国ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズ校(CSM)などとの連携研究を継続実施した。その連携研究を基軸として、化学反応や自然界に見られる振動や波動のダイナミクスの科学的解釈とその社会的意義について、科学と芸術の両方の視点から議論を行った。また、科学的視点を創作に結びつける科学と芸術の連携教育プログラムを実施し、その創作過程と体験から生まれる新しい視点を如何に科学技術研究にフィードバックするかの検討を続けて行った。さらに「オリガミ」という観点から、分子スケールからマクロスケールに至る構造設計と機能発現を議論し、自己組織化に着目した新しい機能性と社会的価値を創出する分子化学と構造形成工学への展開を議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学反応や自然界に見られる振動や波動のダイナミクスについて、科学的かつ芸術的解釈を試み、科学から芸術への翻訳、そして芸術から科学への翻訳という観点から、新しい方法論の展開が順調に進展している。また、今まで巨視的な造形物や構造にのみ展開していた「オリガミ」という観点について、分子スケールに至る構造のデザインに応用することに着目し、分子とその集合体からの機能発現へとつなげる可能性を議論した。
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今後の研究の推進方策 |
英国ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズ校(CSM)およびドイツ・アーヘン工科大学、また国内の関係教育研究機関などとの連携研究を推進し、オンラインミーティングと研究者の受入と派遣などを通じて、自然知能という視点に基づく新しい社会的価値の創出を目指すシステムを確立する。また、今まで行われて来たアーティスト・イン・レジデンスから、新たにサイエンティスト・イン・レジデンスを計画していたが、コロナで実現できず、状況が改善され次第実施を試み、ハイブリッドイノベーション連携研究体制と学問体系の構築を進める計画にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者との議論から、来日ないし渡航を行い、アーティスト・イン・レジデンスとサイエンティスト・イン・レジデンスを通じて実験室現場にて共同研究を行う予定でいたが、コロナ禍の影響で実現せず、海外研究機関との連携研究の予定や計画について再調整が必要となったため。また以上より、研究遂行に想定以上に時間がかかり、次年度へ延期すると共に、共同実験内容とその時系列計画の変更が必要となったため。 使用計画については、令和元年度から3年度までに実施できなかった国内外の研究者交流を実施し、実験室現場での科学と芸術の融合に基づく新しい社会的価値に至るプロセスを確認提示する。また、もしコロナの影響などで、直接的な研究者交流が実施できない場合は、遠隔による共同研究を実施し、遠隔でできる範囲の融合プロセスを提示する計画にある。
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