研究課題/領域番号 |
19K21570
|
研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
山本 仁志 立正大学, 経営学部, 教授 (70328574)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | social norms / 協力の進化 / エージェントシミュレーション |
研究実績の概要 |
2019年度は道徳判断基準の進化について、社会ネットワーク上に配置された人々の間で如何にして規範と協力が共進化するかのメカニズムをエージェントシミュレーションを用いて実施した。その結果、社会的相互作用の範囲が狭い環境下ではいくつかの規範が共存することが可能であるが、範囲が狭い条件下では協力の進化に必須となる規範が存在することがわかった。
また人々が実社会で採用している規範を探索するためにWebオンライン実験を用いて、様々なシナリオ化で人々が「正当化裏切り」と呼ばれる評判の悪い個人にたいして非協力した人をどのように評価するかを分析した。その結果、従来の理論研究が予測していた「悪への非協力は正当化される」という規範は実際には採用されずに人々は評価を避けることがわかった。 また、それ単体では理論的に進化しえない「恩送り」がどのような心理的要因で規定されているのかを探るオンライン実験をおこなった。その結果、公正世界信念と呼ばれる認知バイアスが恩送りを規定していることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り「人はどのような道徳判断基準をもつのか。それは従来の人間のみが存在するときの道徳判断基準とは異なるのか。」が行われた。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は「人・AI混在環境において、人々はAIが提供する情報をどのように利用し、人々の行動はどのように変わるのか。」を実施する。 また人々の道徳判断基準を精緻に分析するため2019年度おこなった「恩送り」のメカニズムに引き続き「罰送り」のメカニズムも分析する。 またAI混在環境における人々の行動変容についてもWeb実験を中心に実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主たる実験にかかるを本務校研究費ならびに共同研究先から取得できた。また2019年度に開始したオーストリア(ウィーン経済大学)との共同研究を2020年度に本格化するため大規模な予算が2020年度に必要となる。これらの理由をもって2019年度経費を次年度使用として設定した。
|