研究課題/領域番号 |
19K21570
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
山本 仁志 立正大学, 経営学部, 教授 (70328574)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | social norms / 協力の進化 / 社会的ジレンマ |
研究実績の概要 |
リアルエフォートベースの公共財ゲームにおいてどのようなインセンティブが人々の向社会的行動を誘発するのかについて被験者実験を行い、経済的インセンティブは完全非協力を減少させ、社会的インセンティブは完全協力を増大させることを明らかにした。また、過剰懲罰が存在する社会におけるリスク状況を見積もるためのエージェントシミュレーションを行った。その結果、過剰懲罰はどのような社会構造であってもリスクを増大させるのに対し、適度な懲罰はそれがない社会に比べてリスクを低減させることを明らかにした。これまでの成果を踏まえリスクを最小化するような適切な懲罰はどのような性質を持つのかについて数理解析やシミュレーションを用いて精緻化する。 更には新型コロナウィルス感染拡大下において、我が国では一般市民に対する強制力のある規制は行われず、自発的な協力が求められただけである。このような環境下では、人々にとっては多数の人が家にとどまり感染予防に協力したうえで自分自身は自由に行動することが自身は小さなリスクのもとで利益を最大化できる。この状況を社会的ジレンマの枠組みで分析し、感染予防に関する向社会的行動ならびに他罰的な規範を持つ人々の規定因を2時点パネル調査で分析した。その結果、感染拡大初期には互恵性などの向社会性が行動や規範を規定していたが、感染拡大後の2021年時点ではそれらの効果が弱まることが明らかとなった。2022年度は引き続き第3波の調査・分析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
規範モデルの構築とシミュレーション、被験者実験は順調に進展している。また向社会的行動に対する規範を新型コロナウィルス感染拡大化の実社会において分析することも試みている。一方で、オーストリア・日本でおこなう予定であった共同実験が渡航制限のため延期となったため2022年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
延期となっている日本・オーストリアの共同実験を2022年度に実施する。現在日本において予備実験を行っておりシステム構築は順調に進んでいる。2022年度後半にオーストリアにおける実験を予定している。またこれまでの規範理論に関する成果を公表するための論文執筆を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定していた日本・オーストリアの共同実験が渡航制限により延期となった。当該実験を2022年度に実施する予定である。また渡航制限が解除されない場合は、現地研究者とオンラインで実験の詳細を検討し、それぞれの国で実施したのちに結果を統合する計画をたてている。
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