研究課題/領域番号 |
19K21578
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
大西 立顕 立教大学, 人工知能科学研究科, 教授 (10376387)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 医療施設 / 診療圏 / 空間分布 / 年齢階層別人口 / COVID-19 / 店舗・施設数 |
研究実績の概要 |
主に,医療施設の診療圏内の年齢階級別人口の解析,新型コロナウイルス感染症流行時の店舗・施設数の増減の解析を行った. 国勢調査の人口データで夜間人口を,モバイル空間統計データで昼間人口を,電話帳データベースで店舗・施設数を推定することで日本全国の各医療施設の診療圏内の人口分布を解析した.各都道府県ごとに診療所が担当する領域(診療圏)を調べた.都心部では半径1kmの診療圏内の見込み患者の把握が経営に大きく影響するとされている.都心部の各診療所の半径1km圏内の人口カバー率が95%であることを用いて地方の診療圏を推定した結果,例えば東北地方では車社会であることを反映して半径15km程度になることを明らかにした.都心の診療圏内の年齢階層別の人口分布を観測した結果,夜間人口はどの年齢層も指数分布に従うが,昼間人口は就労世代はベキ分布,70代以上は指数分布に従うことを明らかにした.夜間人口は風邪などの対応や高齢者や小児の医療を想定した診療圏内人口,昼間人口は成人病などの慢性疾患を想定した診療圏内人口に対応しており,集患対象に応じて潜在的な患者数が大きく異なることが確認できた. また,電話帳データを用いて店舗・施設数を推定することで業種ごとに新型コロナウイルス感染症流行時の店舗・施設数の増減も解析した.飲食店,スポーツ・レジャー,トラベルに関連した業種で大きく減少していることが確認でき,東京,大阪などの人口密度の高い都道府県でその傾向が顕著であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内における労働人口減少と高齢化による医療・介護負担増の問題の解決に向けて,医療施設の適切な配置を検討するための知見が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症による店舗・施設数の増減を全国規模で詳細に推定する手法を開発する.買い物困難,生活困難,限界集落になる潜在的なリスクを推定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
解析を進めた結果,当初の想定に反し,今年度中に取得できるデータでは新型コロナウイルス感染症の影響が顕著になった時期の店舗・施設数を把握できないことが判明したため. 新型コロナウイルス感染症の影響が顕著になった時期の地理空間データの購入,分析,分析結果の成果発表のための経費として次年度に使用する.
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