研究課題/領域番号 |
19K21579
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (00334384)
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研究分担者 |
藤崎 万裕 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80782169)
高橋 競 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60719326)
西本 美紗 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (60825537) [辞退]
高瀬 麻以 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (70826320)
吉澤 裕世 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (70758721)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 食支援 / フレイル / コミュニティ食堂 / 産学官民 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、産官学民の協働体制のもとに、高齢期のフレイル(Frailty:虚弱)の早期発見プログラムであるフレイルチェックとコミュニティ食堂を基盤とする地域に根差した食支援の一体的実施モデルを構築することを目的とする。 フレイルチェックとコミュニティ食堂を基盤とした食支援の一体的提供は、コミュニティ食堂という恒常的な「場」の機能(高齢者に食を通した支援、居場所、情緒的交流)によって、産官学民が連携し包括的なフレイル予防の糸口を提供する。また、フレイルチェックの評価と食事場面における詳細な観察から専門職に繋ぐ基準を明確にできる等、現状の課題を解決できる可能性が高い。今後、黎明期にあるコミュニティ食堂が、子ども食堂の様に全国的な拡がりを見せる可能性も高く、本研究が先駆的に一体型プログラムを開発し、その有用性を検証しておくことは極めて重要であると考えられる。 2020年度は、フレイル予防を促す食支援の在り方を整理し、コミュニティ食堂を基盤とした食支援プログラム(職能団体(栄養士会、歯科衛生士会等)へのアウトリーチ機能や特定健診への誘導、民間企業(生鮮食品小売店、コンビニエンスストア等)との食行動支援)のプロトタイプを開発することを目的とし、東京都豊島区のコミュニティ食堂において、コミュニティ食堂の参与観察、コミュニティ食堂運営関係者へのヒアリング調査を実施した。 コミュニティ食堂は独居高齢者等に食を通した支援、居場所、情緒的交流を提供できる「場」であることが示された。コミュニティ食堂の運営者は、官民の様々なアクターで構成されており、また意図も多様であった。これにより、食支援の現状や課題を整理することができたが、当初予定していた食支援プログラムのプロトタイプ開発までには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大状況から、コミュニティ食堂の開催が年12回から年2回の実施に変更となった。このことを受け、食支援プログラムのプロトタイプ開発に至るために必要なデータの収集が十分にできなかった。また、コミュニティ食堂のあり方に対する運営関係者の意図が多様であり、コミュニティ食堂とその他のフレイル予防に資する事業との一体的な実施をどのように展開するかについて、今後も検討が必要であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
フレイルチェック参加者がコミュニティ食堂を利用する流れを作ることを目指し、まずは様々な食支援やフレイル予防事業の整理を行うことが必要である。また、コロナ禍において、コミュニティ食堂の役割や実施体制の検討も合わせて検討する必要が生じた。 2021年度は上記の内容を実施するとともに、最終的には、コミュニティ食堂とフレイルチェックの一体的実施が効果的に機能しているか、民間企業による高齢者の食行動支援につながるシーズが創出されうるかといった側面での評価も行う。これにより、フレイルチェック・コミュニティ食堂の利用者と提供者、民間企業等、COVID-19感染症拡大防止の措置を講じた中で、双方に利するプログラムが構築可能かを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大防止のため、コミュニティ食堂の開催回数が大幅に減ってしまった。そのため、東京都豊島区で実施されているコミュニティ食堂での参与観察やインタビューにかかる謝金、旅費などが節約されたため。
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